小枝昭一コレクション展

2022年3〜5月

記事後半にご報告を追記しました

2022.06.21

小枝昭一コレクション展


<第一部> 蔵書票・版画
会期 2022年3月22日(火)~3月27日(日)
会場 晩翠画廊

<第二部> 限定本・蔵書票・版画
会期4月14日(木)~5月9日(月)
会場 火星の庭


世界的な蔵書票コレクターとして知られる 故・小枝昭一氏のコレクション展を開催します。


3月22日からGWにかけて晩翠画廊さんと火星の庭の二会場でおこないます。 数十年に渡って収集された国内外の美しい版画の世界にたっぷりと触れる機会になればと思います。


小枝さんと火星の庭のご縁は2006年に始まりました。 2007年には小枝さんが所蔵する蔵書票の展覧会を火星の庭で開催しました。

このとき有志が仙台蔵書票愛好会を発足。当時まだ現存していたホテル仙台プラザのバンケットルームを貸し切って「蔵書票フェスタ」をおこないました。全国から蔵書票コレクターと作家の皆様が駆けつけ、蔵書票の祭典が賑やかに開かれました。 また、蔵書票の入門書『蔵書票レッスン』(仙台蔵書票愛好会編集)を発行しました。


それから15年が経ち、一昨年に小枝さんが急逝された後、ご遺族からコレクションの行き先について相談をうけた晩翠画廊さん経由で当店にもお話しをいただき、この度の展覧会開催の運びとなりました。


昨年末から小枝さんのご自宅に月に2,3回の頻度で通いコツコツと準備を進めてきました。書斎にびっしりと並んだコレクションの全貌と初めて対面したときはその質量に圧倒されました。


所蔵されていた主な蔵書票は、バイロス、バタコフ、ジョルダノフ、カリノヴィッチ、ナイデノフ、ヤコヴェンコらの人気版画家作品をはじめ、ティッツ、ヴェルナー、カランフィリアン、ノーズリン、オンドレイチカ、スミルノフ等の海外作家の作品。

 国内の作品は、戸村茂樹作品に始まり、坂東壮一、林由紀子、アルフォンス井上、多賀新、杉本一文、浜西勝則、須田敏夫、大野加奈といった著名な蔵書票作家、河内成幸、霜山直良、林孝彦、二見彰一、山口和雄、海美代子らの稀少な蔵書票作家による膨大な数でした。


会期中はできるだけ多くの作品を展示いたします。ほぼすべて販売いたしますので展示品は随時入れ替わります。


また、火星の庭では有元利夫、アルフォンス井上、浜口陽三、関野準一郎、加山又造、浜西勝則、林由紀子などの限定本を展示販売いたします。そのほとんどにオリジナル作品がふくまれています。


このまたとない機会をどうぞお見逃しなく。ご来場をお待ちしております。



小枝昭一コレクション展 ↓拡大表示
https://www.kaseinoniwa.com/img2/202204koedadm01.jpg


小枝昭一コレクション展 ↓拡大表示
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小枝昭一コレクション展

<第一部> 蔵書票・版画
会期 3月22日(火)〜3月27日(日)
会場 晩翠画廊

<第二部> 限定本・蔵書票・版画
会期4月14日(木)〜5月9日(月)
会場 火星の庭



小枝昭一:1936年~2020年。青森県弘前市生まれ、1991年から仙台市在住。

 小枝氏は1979年より銅版画を中心に作品蒐集を始め、1984年に日本書票協会に入会、その後約40年にわたり蔵書票蒐集に努めてきました。そのコレクションは自票100点余、交換点数5000点余の一大コレクションを有します。コレクションの中核をなすのは海外の銅版蔵書票であり、大判のシートに描かれる緻密で迫力ある作品の数々が魅力です。制作を依頼した作家との書簡なども大切に保管されており、作家への敬意と交流を大切にしていたことが窺えます。
 この度の展覧会はご遺族ならびに生前おつき合いがあった版画家のご協力のもと、小枝氏と縁のある画廊、古書店が共同で貴重なコレクションを展示販売いたします。本展が奥深い蔵書票の魅力に触れていただく機会になれば幸甚です。





【ご報告】

先般、当店で開催しました「小枝昭一コレクション展」の
売り上げの一部を東北大学ウクライナ支援募金に寄付いたしました。
会期中はたくさんの方々にご賛同をいただきました。
募金にご協力いただいた皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。


展示終了後に、小枝コレクションの所有者であるご遺族様と相談して、
6月7日に10万円を東北大学基金に振込みをいたしました。


小枝さんのコレクションを整理していた今年春、
海外作家と交わしたたくさんの手紙が見つかりました。
とくにウクライナ、ロシア、東欧の作家のものが多く、古くは30年以上前の、
インターネットがまだ発達していない頃のものもあり、
長い年月にわたって関係を育まれていたことがわかりました。


本人に聞くことはできませんが、
2022年2月に起きたロシア軍によるウクライナへの侵攻は、
両国の作家たちと繋がりが深かった小枝さんにとっても、
胸が潰れるようなつらい出来事であり、
一日も早く停戦し、平和な日常を取り戻してほしいと願ったと思います。


その故人の想いを引き継ぐために、
まず両国の作家の作品を並べて展示しました。
そして同じ頃に、
東北大学でウクライナからの留学生とその家族の支援をしていることを知り、
日本の同じ街に暮らす学生の支援をすることが、
今回の企画の趣旨にぴったりだと思い至りました。


戦争が終結した暁には、仙台で学んだウクライナの若い人たちが自国へ戻り、
ウクライナの復興のために大きな役割を担われることでしょう。
そのサポートとして微力ではありますが、こうして直接支援できる機会を作っていただいた東北大学に感謝申し上げます。


募金は現在も開設しています。ご関心のある方は下記の情報をご覧いただけましたら幸いです。


https://www.kikin.tohoku.ac.jp/project/support_for_all/Ukraine


https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/05/news20220509-01.html


https://sup.bureau.tohoku.ac.jp/supportcenter/ukrainesupport.html


河北新報の記事 https://kahoku.news/articles/20220518khn000032.html


寄付を送った後に、東北大学から丁寧なお礼状をいただきました。
これはお客様からお預かりしたものであり、
お伝えしなければと思った次第です。
あらためて足を運んでくださったお客様、
オンラインでご購入いただいたお客様に、感謝申しあげます。


地球上にはウクライナだけでなく、パレスチナ、シリア、ミャンマー、ウイグル、チベット…、 今もあちこちで戦争と迫害が続き、生命の危険に脅かされて暮らさざるを得ない人達がたくさんいます。 当店は今回に限らずこれからも、すべての戦争、暴力に反対し、ささやかでもできる限りのことをしていきたいと思います。


book cafe 火星の庭 前野 久美子 前野 健一