2009年08月 → 戻る  
 
火星の庭 社会科シリーズ 第二回 2009.8.24  

  

 前回の大好評にお応えして、火星の庭社会科シリーズ第二回をおこな
います。「おもしろかったー」「すっきりした」「ぜひ続編をしてくだ
さい」とたくさんの感想をいただいていました。
 ニュースや新聞で断片的にしか報道されない社会経済のことを、あく
までもカフェのおしゃべり感覚で、少しだけ学ぶ機会にできればうれし
いです。真面目に難しいこと考えましょうというのではなく、むしろ今
よりちょっと生活を楽しく、気持ちが軽くなるための家庭の経済学。
 講師の川端先生は、たいへん穏やかで、話し上手。名講義の評判が高
く、いつも講演は満員です。複雑で難解に思える出来事を、誰にでもわ
かりやすく話してくださいます。前回から8ケ月。世の中は変化し続け
ています。今回はどんな話が聞けるのでしょうか。
 どうぞお楽しみに!

               ★

火星の庭社会科シリーズ 第二回
「わたしの経済とせかいの経済のこれから」

日 時:2009年9月18日(金) 19:00〜20:30
場 所:book cafe 火星の庭
講 師:川端純四郎
料 金:500円(お茶付き)
定 員:約30名(要予約。eメールだと助かります。)
予 約:店頭・お電話・eメールで受付けています。
    お名前・お電話・参加人数をお知らせ下さい。
    電話番号 022-716-5335
    eメールアドレス kasei@cafe.email.ne.jp

 大きな変動が伝えられる“経済”。 中学生にも分かる内容をめざして,
いくつかの新聞を読み比べたりTVのニュースを見たりしながら,伝えら
れ方の違いや特徴,また,そのニュースで知らされていない部分につい
て講師の川端先生に解説していただきます。
 断片で知るだけではなく,“自分の目・自分の頭”で理解し判断する情
報の読み解き方を体験したいと思います。

               ★

<川端純四郎先生プロフィール>
1934年生まれ,東北大学文学部,同博士課程修了(宗教学専攻)。
1960年旧西ドイツ・マールブルク大学留学。
帰国後東北学院大学文学部教員として35年勤務し1999年退職。
ドイツ留学時にボンベイ(現ムンバイ)の子どもたちや中国からの留学
生と出会い,それをきっかけに歴史,経済,政治にも目を広げ,大学の
講義や海外の一次資料(英語,ドイツ語圏)からの情報を元に独自に学
びを重ねる。仙台北教会のオルガニスト(パイプオルガン)を55年勤
めており,バッハにも深い造詣がある。歴史的な視点から経済,政治,
音楽,美術などに関する専門的な知識を分かりやすく伝えることから,
市民主催の講座,「音楽と美術でたどる世界史」(1994年〜2000年)
「アフタヌーンレクチャー〜現代史を考える(22回)」(2003年〜
2005年)などの講師を務める。「九条の会」の全国講師団のメンバー。

著書:「J.S.バッハ 時代を超えたカントール」川端純四郎著(日本キ
リスト教団出版局)/「イエス」R.ブルトマン著,川端純四郎,八木誠
一訳(未来社)ほか多数。

               ★

    2009年1月30日に行いました第1回のご報告はこちら

          
             ★CLICK★

 


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 25日からウェブ管理者のケンが旅に出るため、通販と庭番便りは1週
間お休みをいただきます。帰ってからすぐアップしてもらえるよう、本
の入力と庭番便りの作成に精を出しますので、来週以降のご訪問をお待
ちしています!


SCHOPと俳句会 2009.8.22  

大事なお知らせ。
8/31(月)、臨時休業をさせていただいて、遅めの夏休みをいただき
ます。

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 名古屋の「SCHOP」という見た目も中身も充実したフリーペーパー
の発行人である上原敏さんがいらっしゃる。ブックマークナゴヤの主要
メンバーでもあります。

 はじめお茶をしてくださり、ほんとにじっくり本棚を見ていただいて、
会計のとき「SCHOP」をさし出されたので、「あ、上原さんですか?」
と驚くと、向こうも初対面で名乗る前に名前を言われて驚いていた。
 「SCHOP」を見たのは、去年のブックマークナゴヤの特集号で、そ
の衝撃ったらなかった。だれ?これ作ったの。すごい。って。バックナ
ンバーを少しいただきましたので、興味のある方はぜひ。
 上原さん、仙台はじめてで、純粋に旅行でいらしたということで、ベ
タな観光地から、マニアックなショップなどをご紹介する。楽しんでい
ただけたかな〜。

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 今週はじめは8月の俳句会。12名参加。

 風鈴の去った知らせか来た知らせ   火星庵

 夏が来たような来なかったような今年のことを俳句にしたかったけど、
「あまりこういう言い方はしないで素直につくりなさい」と主宰に言わ
れる。でも3点入りました。


 水底に地蔵かかえる七ヶ宿     火星庵


 今月初めに訪れた七ヶ宿を俳句に。季語なし。1点。

 最高得点は豆腐屋(友部正人)さん。この日は吉祥寺のスターパイン
ズカフェで三宅伸治さんとライブレコーディングの前に投句してくれま
した。

 枇杷ゆれて無声映画の雨が降る   豆腐屋

 次に人気があったのが、

 どこからか猫来て八月はじまりぬ  オリーブ

 オリーブさんは力の抜け加減が絶妙で、猫の俳句がとくにいいです。

 火星の庭俳句会は3年半、毎月休まず続いて、43回目。これも主宰の
渡辺誠一郎さんが懲りずにおつき合いくださっていることと、俳句の底
知れない魔力によるのだと思います。10月は鳴子温泉へみんなで吟行へ
行くことに。1泊2日のうち、句会を3回やるそうで、俳句を何句作らな
きゃならないのだろう。と出来の悪い生徒(私)は思うのでした。


9月のこと。 2009.8.21  

 お盆前後は連日まとまった買取りが数件、定休日も出張買取りがあり、
昭和始めの邸宅の本の整理をさせていただいたり、おもしろい本をたく
さん仕入れました。店頭では、暑いなか本を持って来ていただきありが
とうございました。いつでもどこでも本がありましたら、お声がけ下さ
いませ。
 定休日はベランダに貯めておいた(雨除けはしている)在庫30箱近く
を整理。来月の古本市に出せそうなものが出て来て、ほっとしてすっき
り。これでベランダで七輪でサンマが焼けます。

 庭番便りにはハレの日のことばかり載せていますが、毎日がそうであ
るはずがなく、地味なことのくり返しです。もちろん。

              ◆

 休み明けの昨日は、駅前の某ファッションビルにて新しい古本市の打
ち合わせ。2回目。
 その後、クラックスへ向かう。Book! Book! Sendaiの次のイベント
の会場下見へ。武田さん、「風の時」正実さん、並木さんと。90坪とい
う広さをどうレイアウトするか。会場を歩き回りながらアイディアを出
し合う。ちょっと今までにない、展示&古本市になりそうです。

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 Book! Book! Sendaiが青葉通り一番町にあるクラックス(GAPが入
っているビル)4Fで展示と古本市をおこないます。

     ★ Book! Book! Sendai「街を本と歩こう」 ★

        今年、仙台市は市制120周年。
     それを記念して出版された『仙台地図さんぽ』と、
   仙台の文化を伝えてきた『仙臺文化』の貴重な資料を展示。
     Book! Book! Sendai古本市も同時開催します。

 

 この画像。昭和30年代にアーケードができたときの絵葉書(「風の時」
所蔵)。まさに会場のクラックスの50年前の風景なのです。パンといえ
ば「ひらつか」でした。藤崎の屋上には観覧車とモノレールが。「風の
時」正実さんと「同じアングルで現在の写真を撮りたいね」と話した。

              ◆

 Book! Book! Sendai 「街を本と歩こう」 

■日時:9月4日(金)〜8日(木)10:00〜20:00(8日は17時まで)
■会場:クラックス4階特設会場
■主催:Book! Book! Sendai
■協力:風の時NPO法人20世紀アーカイブ仙台/仙臺文化/stock
    書本&cafe magellan(マゼラン)book cafe 火星の庭 

              ◆
 
展示内容

◆『100年前、50年前の仙台の原風景展』
 仙台市制120周年記念企画誌「仙台地図さんぽ」に掲載されている
 大正初期の一番丁(町)かいわいの地図をサイズアップして展示し
 ます。また、大正初期の仙台の様子を映す絵葉書写真や、貴重な昭
 和30年代の写真も展示します。懐かしさと新鮮な発見をお楽しみく
 ださい。

◆ 8ミリで観る「仙台の昭和30年代風景」上映
 昭和30年・40年代に仙台市民が映した8ミリフィルム。東北博覧会
 や七夕まつり、青葉まつり、動物園、養種園、運動会などで賑わう
 人々の姿や当時の日常風景などを上映します。

◆「仙台出版今昔」
「仙臺文化」編集人・渡邊慎也氏所蔵の江戸時代からの仙台の出版の
 歴史をたどる。めったに見ることのない貴重な和本や戦前の出版状
 況を証言する資料など、約50点展示します。

◆ Book! Book! Sendai プロデュース古本市
 古本部門のマゼランと火星の庭が、「街」と「暮らし」と「アート」
 をテーマに古本市をひらきます。

              ◆

このクラックス4階は、様々な展示やイベントを行うスペースとして、
今日オープン!
第一弾として今日から3日間行われる「せんだいの工芸とクラフト展」
(8/21〜23)も楽しみです。

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 9月はもう一つ古本市(別会場)と、火星の庭でトークの企画が。
今年は6月の『Book! Book! Sendai 2009 ~6月の仙台は本の月~』
でやり尽くして、後半は静かに過ごそう、と思っていた……はずなので
すが、何だか年末までガ、ガ、ガーーーっと予定が入って来ていて……
ど、どうしよ。だれが決めたんだ。私か。すでに年末に向けて大きなも
のが5つ入っている……。だれがやるんだ。私か。

 ケンが来週から旅に出る準備をしている…。とうとう家出か!?と思
われそう。ま、家族公認の家出みたいなもの。(違うよ〜!byケン)
1週間私が店の鍵を開けて、一人で営業して、店の鍵を閉めることにな
る。鍵の開け方を教えてもらわなきゃ!っていうか、皆様、この期間真
面目に働いている私を見られます!?たぶん。

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大事なお知らせ。
8/31(月)、臨時休業をさせていただいて、遅めの夏休みをいただきま
す。


佐伯一麦さんの「中上健次」 2009.8.18  

 作家の佐伯一麦さんが山登り用の大きなリュックをかついでご来店。
中身は本。「全集を持っているから譲ります」と言いながら中上健次の
単行本をたくさん取り出した。どれほど読んだのだろう。『枯木灘』は
ページが何カ所かはずれている。80年代に東京生活をしていた頃、高田
馬場の古本屋で買ったのだと言う。『鳩どもの家』のハードカバーはは
じめて見た。

              ◆

 今夜は佐伯一麦さんを囲む会で、若い佐伯ファンが9人集まった。ロ
ンドンでのクラフトフェアを控えてお忙しいなか、佐伯さんの奥様で染
色家の神田美穂さんもご参加。「小石ストール」の新色も持ってきてく
ださった。真夏の夕焼けのようなオレンジ色に目を奪われる。

              ◆

 佐伯さんが今まで読んできた本や作家を紹介するコーナーを火星の庭
に作ろうとしていて、その打ち合わせをまずする。来月下旬にはスター
トできそうです。

              ◆

 〆切り原稿を片付けた後ということで、遅くまでおつき合いいただい
た。友人の水上さんが自己紹介で名前を告げると、「ミナカミ?」と佐
伯さんがつぶやくや否や、ガクッと首をおとし、垂れた前髪から鋭い眼
光をのぞかせ、「う〜〜、えーーー、私は、寺の…」と水上勉の真似を
はじめた。すると一転、ちょっとかわいらしい男性の口調。「これは安
岡章太郎ね」。次に早口な理路整然とした人「古井さん」。一同大爆笑。
止まらない佐伯さん。「作家だけじゃないよ」と目玉おやじまで飛び出
した。女性作家もやったような…。
 「みんな特徴があるんだよ。作家っていうのは役者だから」という佐
伯さんも役者なのだった。「今の若い作家の人達にはインタビューしな
いとか、表に出ないっていう人もいるけど、生身の作家が出るってこと
はすごくね、大事なんです。会った後に作品を読むと、より深く理解で
きるというか。私も生前に中上健次と会ったっていうのは大きかった。」

              ◆

 書くことについて、本を読むことについて、いろいろお話を伺った。
「本を読むのはいいこととは限らない」「書いたら不幸になるかもしれ
ない」と本好き、作家志望の人達に言う。

              ◆

 佐伯さんご夫妻はおいしいものをご存知なので、お料理をがんばった。

*焼き茄子の煮浸し/*ラタトゥユ/*しめ鯖/*仙台ちゃ豆/
*タコときゅうりの酢みそ和え/*3色芋のタラモサラダ/
*定義山三角揚げ素焼き/*桃/*ビール、日本酒、ワイン、焼酎

 鯖は金華山沖の活きのいいのが市場であったので、午前中から仕込ん
でしめ鯖を作った。うまくできた。Kさんが閖上港のお寿司屋さんの巻
寿司をたくさん持って来てくれて、それもとてもおいしかった。
 こんな風においしいものを食べながら、文学の話をする会をこれから
もやっていきたいと思っています。次は10月はじめの予定。参加希望の
方はご連絡いただければ、日程をお知らせします。

              ◆

 佐伯さんご夫妻が帰られた後も、数人で延長戦。佐伯さんが持ってき
たボロボロの『枯木灘』は、佐伯さんを師と仰ぐKさんが当然のように
持って帰った。佐伯さんは直接Kさんには渡さず置いていったんだけど、
Kさんにあげるつもりだったのだろうと思い、「これ佐伯さんが持って
来たよ」と渡した。Kさんはものすごくうれしそうで、気がつくと『枯
木灘』を抱きしめて寝ている。あのー、外、明るいんですが。朝5時な
んですが。ぐんにゃりしたKさんを、最後、タクシーに放り投げる。


宮城うたの日コンサート in 七ヶ浜 2009.8.14  

 仙台もようやく暑くなりました。今年の東北は梅雨明け宣言のないま
ま秋になるそうです。陽射しはきつくても、風は秋です。

 七ヶ宿へ行った3日後、今度は七ヶ浜へ。
   「宮城うたの日コンサート」があった。
       
 会場は海がすぐそばの七ヶ浜国際村。風に潮の香りを感じる。あいに
くの雨だけど、日本有数のサーフスポットの海岸ではたくさんのサーフ
ァー達が波乗りしている。

 「うたの日コンサート」は2001年にBEGINが沖縄ではじめ、東京・
渋谷のライブハウス「BYG」でも毎年開催されている。
 この「うたの日コンサート」を宮城でも開こうと、友人のテリーさん
がずっと、ずーーっと実現のために準備してきた。音楽が何より好きで、
多くのミュージシャン達から愛されているテリーさんならではのスペシ
ャルなコンサートだった。

 ロビーではオープニングアクトのバンドが演奏し、中庭では近藤商店
の屋台。おー、牛タン串焼きが!お祭りムード一色だ。ノンアルコール
ビール(車だからね)で一息ついて、ホールに入る。はじめに七ヶ浜町
の小学生〜高校生による美しい合唱。ゴスペルのような。指揮とピアノ
演奏はリュウちゃんこと山本隆太さん。最後、ステージ後ろの壁がどど
どーーとひらいて、ほんものの海がひろがる。すごーい、壮大。そこに
「We love 七ヶ浜」のコーラスが響く。

 テリーさん登場。赤いチェックのジャケットに蝶ネクタイと帽子。こ
れを着こなせるのは東北ではテリーさんだけだろう…。何を言うのかと、
一緒にきたT君と身内気分でハラハラする。テリー節が炸裂で大受け。

 本編スタート。一発目からいきなり三宅伸治BAND。セ、セクシーで
すぅ〜(ティッシュで鼻血をおさえる)。2曲飛ばす曲をやって、キヨ
シローのことに触れて、「デイ・ドリーム・ビリーバー」と「JUMP」
を。「たたえる歌」でぶち切れて踊る。「たたえる歌」は自転車に乗る
ときのテーマソング。

「ア〜ちっぽけなきみをたたえて、ア〜ちっぽけなぼくをたたえよう」

 この曲の収録アルバムでは三宅さんの友人ミュージシャンがリレーで
歌っている。この映像が絶品です。
 アルバムの参加ミュージシャンは、友部正人、忌野清志郎、仲井戸麗
市、内田勘太郎、木村充揮、ミスチル・桜井、ゆず・北川、甲本ヒロト、
真島昌利、寺岡呼人、BEGIN・島袋、クドカンなどなど。
 普段狭いところで、局部的にしか体を使っていないので、ライブに行
くと、全身の感覚が動くのがわかる。
 最後はボブ・マーリーの「no woman no cry」の大合唱。すでに最高
潮の盛り上がり。

 リクオ登場。空気が変わる。グルーヴ感が心地よくて、聴きほれる。
ピアノはスタインウェイ。ものすごくきれいな音。リクオが弾くと音に
色がつくよう。10年以上ぶりに聴いたけど、すごく大らかで、ダンディ
になったなぁと思った。
 次はカラーボトル。今どきの音楽に疎いので知らなかったが、仙台出
身で歌と演奏のうまさにびっくり。なのに、歌詞は若い人の心情そのま
ま。「別れた彼女が合鍵を返しに来る。駅まで二人で歩いた。このまま
時間が止まればいいのに」みたいな。ファンの若い女の子の叫び声がす
ごかった。

 休憩になったので近藤商店の屋台へ行くと、なんと牛タン串焼きは売
り切れ!!しょんぼりしていたら、店主のゴンちゃんが「はい」と岩の
りの素焼き(大好物)をくれる。一転上機嫌。地鶏の炭火焼もうまかっ
たよー。

 2部の最初はリュウちゃんと松千。リュウちゃん、白いアロハシャツ
が超お似合い。リュウちゃんのピアノの音は透明で、すっと心に入って
くる。弾く人によって同じピアノでこんなに違うのかと思う。千草さん
のハスキーな声とスウィングしながら歌う姿が愛らしい。さっきまでタ
テノリだった人達もななめに体をゆらす。BLACK BOTTOM BRASS BAND
も加わって、「うたのうた」の壮大なブラスバージョン。このシーンは
この日の圧巻でした。

 引き続きBLACK BOTTOM BRASS BANDが盛大に大人のカッコよさで会
場をゆらし、ラストの風味堂へ。強力なカリスマ性とバンドのザラザラ
した緊張感を持ちながら、ポップで、汗くさくない、楽曲と演奏も洗練
されている。新しい人たちなのだと思った。若者に人気があるはずです。

 最後の最後にリュウちゃんと松千で「荒城の月」。仄かに照らされた
ステージで、青葉城を詠んだとされる宮城ゆかりの歌がうつくしく響く。
明治人も七ヶ浜の海岸で歌ったのかもしれない。心にのこるとてもいい
ラストだった。トータル5時間におよぶライブが終了。
 外へ出ると暗闇に波が激しくリズムを打っていて、それをつつむ雨音。
いつまでもライブが続いているようだった。


七ヶ宿町へ 2009.8.8  

 少し前、荻原魚雷さんから、七ヶ宿(しちがしゅく)町へ行きたいの
ですが、と連絡をいただいた。
 七ヶ宿町は、仙台から車で2時間弱。山形との県境にある人口2000人
の町。ここは作家の古山高麗雄氏が故郷と呼んだところであり、著作に
「七ヶ宿村」という短篇小説もある。没後、古山氏の遺品の数々が町に
寄贈され、現在は町の施設である「七ヶ宿水と歴史の館」のなかに古山
氏の展示コーナー
が作られている。
 魚雷さんは25歳の時、古山氏を訪ねて以来、2002年に亡くなるまで
おつき合いをされていた。著書「古本暮らし」やブログ「文壇高円寺
にも古山氏はよく登場する。(2003年から[書評のメルマガ]で「全
著快読 古山高麗雄を読む」も連載していた。)
 七ヶ宿には友人の漫画家・小松里佳さんが住んでいるので、案内をお
願いすると快く引き受けてくれて、とても助かった。お願いした翌日に
水と歴史の館に行って、学芸員のKさんに、これこれこんな人達がやっ
てきます、と言ってくれて、なんとKさんは魚雷さんのファンで「文壇
高円寺」の読者だとわかり、話はトントンと進んで、普段は展示してい
ない未整理の遺品や直筆の原稿なども魚雷さんにお見せします、と約束
までとりつけてくれた。私もミーハー心に火がついて、七ヶ宿行きを楽
しみにしていた。

               ◆

 江戸時代、東北の日本海側にとって江戸までの重要なルートだった七
ヶ宿街道。当時は一里ごとに宿場町が7つあって、それで七ヶ宿。明治
に入って寂れたが、60年代にダムが建設され、スキー場もできた。7つ
の集落のうち、渡瀬(わたらせ)という村がダム建設のときにまるごと
水没した。その村が古山さんの故郷。だから今はもうない。故郷といっ
ても古山氏が生まれたのではなく、古山氏のお父さんの実家があったと
ころだそう。

               ◆

 魚雷さん、前日の夜に仙台入り。翌朝早起きして七ヶ宿に向け出発。
山がどんどん大きくなっていく。トンネルを何回か抜けると、突然目の
前にダム湖があらわれた。遠近感がなくなるほどの大きさに圧倒される。
ここを人の力で湖にしたなんて…。
 ほどなく「七ヶ宿町水と歴史の館」の看板が立っていて、堂々とした
和風の建物が見えた。館に入るとロビー右手に、子供の背丈くらいの鉄
のオブジェがならんでいて、古山氏の著書が一冊ずつおかれている。天
井近くには大きなパネルがずらっと飾ってあって、古山氏の幼少時代か
ら亡くなる直前までの姿が写されていた。
 別室で昔の七ヶ宿を描いた絵画展をしていて、Kさんが「これが古山
さんのお父さんのご実家です」と教えてくれる。立派な茅葺き屋根の家。
さまざまな角度から何枚も描かれていて名家だったことがわかる。
 Kさんと魚雷さんは奥の収蔵庫へ。20年前に古山氏に宛てた魚雷さん
の手紙があったという。事務室でお茶をいただきながら、Kさんが古山
氏の話をいろいろ聞かせてくれる。Kさんは魚雷さんがおどろくほど知
識が豊富。そして心から古山高麗雄の文学を愛している。

               ◆

 途中、朗らかな町長さんがいらして、「どうぞ七ヶ宿をよろしくお願
いします」と挨拶された。地元の人達の会話を聞いていると、ここでは
町民の全員が知りあいのようだ。

 外へでると山から風が吹きぬけて、草原がゆれている。自然に囲まれ
ているけれど、田舎くさくないのは、江戸時代から旅人を歓迎して、物
や情報がたえず行き交っていたからだろうか。私が育った農村地帯とは
違うな、と思った。

 魚雷さんと小松さんと私は同じ昭和44年生まれ。小松さんは大阪出身
で七ヶ宿に惹かれて移り住んだ。今ではこの町になくてはならない人に
なっている。土地の伝説があるお地蔵さん、道祖神のある巨大な祠、森
の散歩道や渓谷を案内してもらい、温泉に浸かって仙台へ帰って来た。
茅葺きの民家で食べたお蕎麦もおいしかった。
 七ヶ宿、いいところだ。

 魚雷さんの河北新報夕刊の連載は、隔週月曜日。次回は8/17です。


南陀楼さんのレクチャー 2009.8.2  

 7/31(金)にせんだいメディアテークの「日常生活の編集術」という企画のなかで南陀楼綾繁さんのレクチャーがあったので行ってきました。
「ミニコミ・フリーペーパー “紙”だからできること」というタイトル。
コーディネーターは桂英史さん。

 レクチャーは、「ミニコミとは?」という定義からスタート。60年代
の始まりから現代までの歴史を語り、インターネットが普及した現在で
も紙メディアが廃れない理由も解き明かしていく。商業誌ではないミニ
コミ・フリーペーパーの役割、魅力がわかって面白かった。南陀楼さん
が収集した様々な実物も回覧。みんな熱心に見ていた。時々はさまれる
桂さんの質問も鋭い。最後はワークシートに参加者が自分でつくるミニ
コミの企画書を書き、南陀楼さんが読み上げて感想を言う。私は、「本
サバイバル」という本のネタで提出。時間とお金があったら本当に作っ
てみたい。終わってから「前野さんの案は突飛ですぐコメントしずらか
った」と言われた。
   (↓写真、ピンボケでした…すみません)
   

 めずらしく?頭を使って勉強した気分。早くビール飲みたいよぉと国
分町へ。本好きの親方のいる一軒家の居酒屋「なんかんや」へ。小上が
りの座敷に南陀楼さん、頼れる助っ人弘子さん、ジュンちゃん、マゼラ
ン・洋平君、私でエビス生で乾杯。マゼラン2周年も祝う。おめでとう!
金華かつおの刺身、まぐろ唐揚げ絶品。
 気がついたら午前1:30。びっくりした。でもすぐそばにはブルックリ
ン。行かないわけがない。ジュンちゃん、今日も期待通りの酔っぱらい。
午前3時、南陀楼さん泊のホテル経由で帰る。

 翌日は10:30にメディアテーク1Fのカフェで、南陀楼さんからBook!
Book! Sendai
のこれからについて武田さんと一緒に取材を受ける。
まだお酒が残っている。朝型さわやか人・武田さんにまかせて、ぼや〜
〜っとしていたが、南陀楼さんの鋭い質問と突っ込みにだんだん目が覚
めてきて、なんか、語ってた。覚えてないけど、気がついたら熱くなっ
ていた。
 南陀楼さんは13時からメディアテークでの仕事があるので、場所を移
してナプレでピザを食べる。楽しかった。南陀楼さんのおかげで頭の中
がいろいろ整理された気がする。ありがとうございました。
 Book! Book! Sendaiは9月はじめに街なかで、展示&古本市の開催
を予定しています。詳細についてはまた。
 2日に渡るレクチャーを終えて南陀楼さんが火星の庭に寄ってくださ
った。最後のゲスト4人による座談会も盛り上がったよう。お店を抜け
て行きたかったのだけど、残念。こうした本や紙についての企画を仙台
でもどんどんやるようになったらおもしろいなー。できれば主催者じゃ
なくて参加者が楽でいいけど(笑)。
 と言っていながら、今年中に南陀楼さんがやっているフリーペーパー
展を仙台でも開催します。福岡、大阪、名古屋、東京を巡回し、仙台へ。
全国のフリーペーパー80誌が勢ぞろい。あわせて東北のフリーペーパー
も発掘、展示したいと思っています。(商業誌じゃない)フリーペーパ
ーを作っている、おもしろいの知っているという方はご連絡お待ちして
います。

南陀楼さんレクチャーの印象的な言葉

「今はメディアがつかみにくい、等身大のメディアが必要とされている」

「1995年ごろ、ネットが普及して紙が不要になると言われた。たくさ
んのメディアがウェブ上に現れたが、ほとんど続かなかった」

「紙は伝達力、保存力が大きい」

「モーニング・ツーが全ページ公開したら、本誌の売上げが逆にアップ
した」

「なぜミニコミがあるのか。それは既成のメディアではすくえないもの
を発信できるから」

「読者を想定して(ニーズを追求して)つくるのがマスコミ。ミニコミ
は自分が作りたいもの、自分の欲求でつくるもの」

「今の若い人達はウマイ。それっぽくつくる。大事なのはその先、自分
がつくりたいものをつくっていけるかどうか」

「パソコンの普及によって簡単に作れるようになった。真似がしやすい
だけ画一化される。」


 
 
 


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