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晩秋の東京行脚 後編1 2006.10.31  

外はしとしと雨が降る。晩秋の気配が漂っている。お茶の水駅から荻窪へ。
来年初めに発行する「蔵書票レッスン」という冊子の打ち合わせ。場所は喫
茶店「ひなぎく」。海月書林さんがここへ古本屋をオープンしてから訪れる
のは初めて。店主の市川さんはいらっしゃらなかった。明るい色の棚に、面
白そうな本がきゅっとつまっている。ふいに喫茶店に入ってこんな光景をみ
たら衝撃だろうな、と思った。打ち合わせはデザイナーのHさんと。Hさん
は角田光代の「人生ベストテン」のブックデザインも手がけた方。今は西荻
窪の住人だが、数年前まで仙台に住んでいて火星の庭によく来てくれていた。
その頃も抜群のセンスでフリーペーパーを作ったりしていたので、ぜひお願
いしたいと思ったのだった。図版用の蔵書票や参考資料などをお見せしなが
ら、話はとんとんと進んだ。
        
「蔵書票レッスン」は仙台蔵書票愛好会が来年仙台で開かれる蔵書票の全国
的イベントに合わせて、蔵書票を知らない方にその魅力をお伝えしよう、と
いうことで作られます。私は編集を担当しています。完成したらここでもお
知らせします。
        
その後は、古本の話やちょっと昔の話などをしっとりと。Hさんは、沼田元
氣さんの「乙女美学校」の生徒でもあるので学校の様子なども興味深く聴い
た。
          
駅でHさんと分かれてささま書店へ。レジにいらしたのがNさん、ごあいさ
つ。ちょうど客注のインテリア系の洋書があり、購入。「それではまたあと
で」とNさんに言って外へ出る。雨、土砂降り。19時前に高円寺着。古本酒
場コクテイルの引き戸を開けると店主の狩野さんがいらした。約束の時間は
19時半だったので、あづま通りの散策にでかける。うろ覚えだった高円寺文
庫センターの場所を狩野さんに教えてもらう。古本屋も2軒入る。コクテイ
ルに戻ると石丸澄子さんもいらしていた。素敵なシルクスクリーンの作家で
あり、最近は手ぬぐい制作を行っている。来年の企画についてご相談。わく
わくするような内容。火星の庭の7周年企画としようかな。
          

        
20時すぎ狩野さん、石丸さんと3人で荻窪へ。着いた場所はボーリング場。
ささま書店のNさんもいる。前々からこの日にボーリングをすることが決まっ
ていてそこへたまたま上京した私も加わることになった。ボーリング…って
いつやったか覚えてないよ。見学しようと思っていたら、やらねば、という
流れになり、やりましたよ。ガーターいっぱい、でもストライクもあった。
で、けっこう楽しかった。
       
終了近くに、荻原魚雷さんが現れて、さぁ行こうかということで、計10人で
居酒屋へ。昨日も一箱古本市の打ち上げ(こちらは20人以上)に混ぜていた
だいたが、私は普段飲みに行かないので、なんとなく勝手がわからない。初
対面の方ばかりで、実は緊張していた。というと、私を知る人は「えー、ま
さかーー」とか言うんでしょうけど、ほんとなの!
          

        
お酒は好きですから、しかもみなさん古本つながりですし、酔えば楽しく話
も弾み、荻原さんにはコクテイル文庫「借家と古本」にサインしてもらった
り(火星の庭で販売中)、同席していた老舗の古本屋さんとお話ができて貴
重な時間だった。気がつけばホテルまでの終電はなくなっていて、とりあえ
ず辞去して中央線に乗る。四谷まで行って、駅員さんにホテルのある駅まで
たずねると歩いて40分ということ。疲れたらタクシーに乗ればいい。こんな
こともめったにない、と歩くことにした。外堀通りを赤坂見附の交差点に向っ
ていく。大きな堀の向こうに黒い森、片方には巨大なビルと首都高速、なん
だか小人になったような気分だ。途中よれよれの酔っぱらいが一人いた以外
は、いたって快適に到着した。
        
最終日、すべての荷物を持つと米俵(本俵)でも担いでいるようなので、いっ
たん東京駅のロッカーに荷物を置いて、早稲田に行くことにした。昨日より
7、8度は気温が低い。ときおり突風も吹く。古書現世に入ると向井お父様が
お店番をしていた。仙台の一箱古本市の時に宣伝してくれたりお世話になっ
たお礼を言おうとすると、逆にお礼をされてしまった。出版されたばかりの
「早稲田古本屋街」(サイン入り)を買ってお店を出る。すぐ読みたい。喫
茶店へ行こう。
          
小田急線に乗って経堂のロバロバカフェへ。
「“本”というこだわり、“紙”でできること」という興味深い企画をした
カフェなので、行ってみたいと思った。各地のリトルマガジンや手製本を集
めたその企画はやっていなかったが、p.yuqiという画家の展覧会が開かれて
いて、その絵もとてもよかった。店主のいのまたさんと話していたら、共通
の友人がいてびっくり。世間はなんて狭いのでしょう。ロバロバカフェは小
さいのに広大な場所にいるような気持ちのいい風が吹いています。それはい
のまたさんが7年以上石垣島に住んでいたからなのかな。あんな空気を作れ
るいのまたさんはすごい人、と思いました。
          
さー、次は青山をめざします。表参道を(つい)うつむきながら歩いてたど
り着いた場所は古書日月堂です。
       
(またつづきます)
               
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晩秋の東京行脚 2006.10.27  

いろいろな用事をくっつけて、えいや!と東京へ行ってきました。
以下は報告です。(また長いです)

東京は仙台から見ると涎の出るようなイベントや企画、お店が目白押し。今
月だけでも、古書日月堂さんが渋谷のパルコで「印刷解体」、古書会館では
アンダーグラウンドブックカフェもありました。今回は10/22開催の不
忍ブックストリート「秋も一箱古本市」に焦点を合わせての東京行きでした。
     

       
午前10時に西日暮里の駅で降りて、不忍通りに向かって歩いていると「下町
まつり」という幟がたっている。祭り好きのココロがざわざわと騒ぎだし、
気がつくとマップ片手にスタンプラリーをしていました。モチつき、猿回し、
フリーマーケット…。四つ角に出るとどっちへ行こうかとくるくる見回す。
路地が路地を誘い込むように、この先は?とどこまでも進んで行きたくなる。
年々マンションとビルばかりになる仙台の街では少なくなった光景です。時
計を見ると11時。一箱古本市開始時間です。一ケ所目はお寺の境内だった。
岡崎武志さんにご挨拶すると「あれーーなんでいるんやー」と驚かれる。岡
崎さんの奥様製作の文庫カバーを購入。作りがしっかりしていて、布のセン
スにも惹かれるし、1000円は安い。どなたかの箱から長谷川集平の絵本。お
日様ポカポカ、のどかで楽しい。そうそうこの雰囲気を味わいたくて来たの
よ。根津のそばだったので、オヨヨ書林さんを訪ねる。そこで南陀楼綾繁さ
んとお会いすることもできて、その後、おいしいロシア料理のお店に連れて
いってもらい、仙台でまた一箱古本市をやるとしたらどんな形がいいか、お
話を聞いたのだった。11月の福岡「ブックオカ」のことなども交えて、興味
深い話がいろいろ。
     

           
自転車で見回りする南陀楼さんと分かれて、別の一箱古本市会場へ。この日
は4つの会場で計50箱が置かれていた。お寺の境内、マンションのエントラ
ンス、商店街の軒先、カフェの入り口、普段は何でもない場所に古本市があ
る喜び、いいです。それでわかったこと。一箱古本市は、出品者が自分の本
を直接売った方がぜったいにいい。場所は人がたまったりできる余裕がある
ところ。お客様をしないとわからないこともある。そう、遊び(だけ)に来
たのではないのですよ。スタッフの方々のさわやかな連体感にも感動。いい
なー不忍ブックストリート。
      
       
「秋も一箱古本市」についてはこちらのリンク集からどうぞ。
http://taikutujin.exblog.jp/4558382/
       
       
それからこの日は、南陀楼さんに是非と言われたブックカフェ2軒「ミルク
ホール」と「ブーサンゴ」へも行きました。どちらも落ち着いた居心地のい
いお店でした。
       
      
翌日は雨。まず六本木の青山ブックセンターへ。レイアウト・棚構成が変
わって、以前は「普通さの中のすごさ」と感じられたが、今はどこからみて
も「カッコイイ本屋」になったような気がする。個人的には前の方が好き。
         
お昼はまたまた南陀楼さんおすすめのカフェ「アンチヘブリンガン」へ。南
陀楼さんは、「路上派遊書日記」で読む通り歩く量が半端でないから、本屋
だけでなく、カフェや食べもの屋にもめちゃくちゃくわしい。店内の空気が
開放的で、食べものもおいしくとても好みのカフェだった。
           
中央市が開かれる古書会館へ。2フロアに渡って本がひしめいている。1時間
くらいうろうろしているとスイッチが入って、気になるものにぱぱぱぱと札
を入れていく。さて、どのくらい落札できるのか。知合いの経営員のKさん
に落札品の送付をお願いして、会館を出る。
          
(後編はまた後日)
               
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アップルクランブルケーキ登場です 2006.10.21  


     
先日農家の和田さん宅へお邪魔したときに、宮城県大衡村産の紅玉をゆずっ
ていただき、ついに!今年はじめてのアップルクランブルケーキを焼きまし
た。酸味の強さでリンゴ界からは隅に追いやられている感のある紅玉ですが、
お菓子には最適です。「なんでも甘く、やわらかく」という路線に反対の方々
にも支持されて、近年また人気が出てきているようですが、作っている農家
が少ないので手に入りにくいのです。傷みやすいのも市場に出回らない理由
だとか。その上、私の場合なるべく農薬を使っていないものにしたいので、
果物屋さんに並んでいても買うのを我慢していました。
このアップルクランブルケーキ、火星の庭のケーキの中でとくに人気が高く、
「まだですか?」と聞かれていました。初日はあっという間に完売。当分は
毎日焼く覚悟でのぞみますので、どうぞ今だけの味をお楽しみ下さいませ。
(11月末くらいまで)
          

            
余談:お店にいらっしゃるお客様のご紹介で、このアップルクランブルケー
キを仙台市内のある雑貨&セレクト食品店で限定販売をさせていただくお話
が進んでいます。このケーキは焼き時間が1時間かかり、「1日何個焼けま
すか?」と聞かれ、うっ!と答えに詰まってしまいました。限界に挑戦です。
といっても数日間のみですが。
            
余談2:10/22〜10/24の間、東京へ行ってきます。目的の一つが
不忍ブックストリートの「秋の一箱古本市」。お客さんとして楽しんでこよ
うと思っています。晴れるといいな〜。
             
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ユンボのライブがあります 2006.10.18  

10/29(日)にあるユンボのライブを楽しみにしています。
今回の会場は青年文化センター。参加者も多彩です。
これはかなりすごいライブなのでは、と気づいたのでお知らせします。
ユンボのほかにはマヘルシャラルハシュバズの工藤冬里さん
(四国在住)のユニット、元キヌタパンの関さん(東京在住)
率いるSekifuも出演します。
かなり濃密で、魅惑的な音楽世界を体験できることでしょう。

このメンバーでのライブが火星の庭で行われたのが4年前、
そのときの音源は「IGLOO MEETING vol.3〜地続きの島を恐れるな」
というタイトルのCDになっています。名盤ですよ。
(火星の庭でも販売中)

仙台ではめったに見られない貴重なライブをお見逃しなく。

『IGLOO MEETING vol.9〜旅打ち/うた沢』
10/29 (sun) 19:00 open/19:30 start
at 仙台市青年文化センター練習室4(地下鉄・旭が丘駅に隣接)
出演:
工藤冬里カンパニー
Sekifu
yumbo

詳細お問合せ先:
IGLOO RECORDS澁谷
shibuya_igloo@yahoo.co.jp 022-274-4247
              
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新潟の市 2006.10.14  

盛岡での快楽三昧から一夜明けて、新潟の市場。5時起床、6時に仙台を出
発。熟睡している娘を布団から助手席に乗せて、一路新潟をめざす。会場は
月岡温泉のとあるホテル。新潟への参戦は初めてで、期待と不安が入り混じ
る。出品もしようと、段ボール4箱積んできた。以前は市場では買うだけだっ
たが、なるべく売るモノを持っていくようにしている。支払いが楽になるか
らだ。もちろん、狙いは売りより、買い。
     
会場に着くと、おなじみの山形のKさんや福島のTさん、茨城のDさんがい
て、ほっとする。ご挨拶をすると「よく来たねー」と言われる。どうやら宮
城県からは当店だけのよう。東京、千葉からも参加されている。千葉の古書
店さんは夜中の2時に出てきたという。すごい。
       
10:30、振りが始まる。目当てのKさんが登場。戦争モノの本が続けて
出る。会場の隅に用意された珈琲を飲みながら声を聞いていると、「ノジリ
ホウエイ」という声が聞こえてあわててカップを置いて身を乗り出す。落札。
しばらくして、大きな大きな竹久夢二の画集4冊組。定価は20万。こころ
の中で「どうする、買うか」「んー、でも夢二は微妙…されど夢二」2秒間
葛藤。発句(振り手の第一声)は高い。ええい!!気がつくと買っていた。
「いい買いものだったね」とKさん。「ほんとにほんと?」と聞きたくなる。
いい買いものかどうかは、お客様が決めること。でも買えて良かった。
        
入札では欲しいものが二つ、ウィリアム・モリスの本とヴォルスの画集。自
店での売り値を想定して、慎重に落札価格を決める。欲しいものだから、儲
けギリギリのところまでつける。どちらも落札できた。体はふらふらだけど、
気持ちはハッピー、来て良かった。
        
余談:会場の隅に「魚沼産コシヒカリ」新米がどどーんと積んであった。近
くの人に「あれ、もしかして売り物なんですか?」と聞くと、「そうだよ」
と。さすがーーー新潟。古書の市会でお米を売るのを初めて見ました。農業
兼古書店の方でもいらっしゃるのでしょうか。普通に売買されていました。
ちなみに火星の庭は福島県産コシヒカリ。私の実家のお米です。父親に「新
米売ってたよ」と言うと「今度売ってくれ」だって。そ、それはちょっと。
              
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吟行と友部正人ライブ 2006.10.12  

句会仲間の桃生くんは岩手大学の学生で、彼が写真部の友人達と友部正人さ
んのライブを岩手大で行うというので、盛岡へ行ってきました。往路は同じ
く句会仲間の板垣さん夫妻の車に昭和44年生まれコンビの一戸さんと一緒に
乗せていただいた。午前中は台風で大嵐、でも出発の時は陽がさしていまし
た。前日郡山でライブだった友部さんと奥様のユミさん、テリーさんと高速
のパーキングで待ち合わせ。緑地には芭蕉の「五月雨の降りのこしてや光堂」
の句碑がたっていました。
       

       
「これは一句作らないと」という空気になり、「では夜は句会をしましょう」
に発展し、盛岡まで車中俳句を考え続けました。
        
岩手大のライブ会場は築90年の木造建築。宮沢賢治も学んだ校舎だった。
国の重要文化財にも指定されている。
      

           
森の中に建つ様は、貴族の別荘のようです。入館料を払えば、だれでも見学
できます。撮影は禁止なので建物内の画像はありませんが、古い建物がどん
どん壊されていく仙台から見れば、盛岡はほんとうによく建物が保存されて
います。会場は2階の講堂。ものすごい広さなのに、ホールに柱はたってい
ません。建築技術が高度なのか、木の材質がすばらしいのか、ただただため
息です。
       

          
目の前の森に、帽子をかぶった賢治がうつむいて思索しながら散歩をしてい
る有名な写真そっくりの銅像がありました。聞いたところ、賢治にはずっと
銅像がなく、それは賢治の遺族が「賢治は銅像とはもっとも遠いところの人
だから」と拒否してきたからだそうです。それが大学の強いすすめもあって、
お互いに歩みよりできたのが、横顔だけの銅像です。これ正面を見ても顔は
ありません。賢治にぴったりのとてもいい銅像だな−と思いました。
      
友部さんが音や照明のチェックを終えると、2台の車は紺屋町の喫茶店
「クラムボン」へ。ここは珈琲がとてもおいしいところ。友部さんも盛岡へ
来ると必ず立ち寄るところだそうです。みんな道中作った句を提出して、一
枚にまとめられました。私もなんとか、かんとか句をひねりだし、ほっとし
てサンドイッチとガトーショコラを平らげました。会場をすぐ近くの紅茶の
店「しゅん」に移して句会が始まりました。新幹線で来た三浦さんも合流し
計8人の参加者です。同じ景色を見て作ったからでしょうか。いつもより共
感できる句が多いです。それ以上に、同じ景色を見てそれぞれ見たこと、感
じたことが違うことが妙におもしろいのです。ひとり2句づつ選句すること
にしました。
       

      
      
一番人気は
      
人は行き野分は我と佇んで  豆腐屋
       
二番目は
        
横顔の賢治に出会う秋の杜  潤目鰯
         
選句する時は作者はわからないのですが、
一番人気は豆腐屋つまり友部さん。
二番人気は潤目鰯つまりユミさんでした。
それはそうでしょう、と言われればそうなのですが。
      
ちなみに私の句。
        
ほそ道や高速で行く夢の跡  火星庵
       
芭蕉が何ヶ月もかけてたどった道のりを高速で2時間で駆け抜ける現代の私
を詠んでみました。季語がないので、きっと主宰のチェックが入るでしょう。
         
吟行はおもしろい。一種のセッションだと思いました。
       
次の日は、一戸さんと三浦さんと女性三人で盛岡散策。まず訪れたのが、
「きりん書房」さん。仙台でいえば一番町のような、盛岡に来れば必ず通る
ところにお店はありました。3階まで店鋪があって、ご主人にご挨拶。岩手
の大市が11月にあることを教えてもらいました。郊外にジャスコが二つで
きて、街を歩く人が1/3くらいになったと。そういえば盛岡インターを出
て最初に目に入ったのが巨大なジャスコでした。
        
ずっと行きたかった「機屋」でネルドリップのおいしい珈琲を飲み、途中で
やっていた「サンマまつり」でホタテとイカとサンマの炭焼き、イモ子汁、
おにぎりをお腹いっぱい食べ(全部で700円!)、古着屋や雑貨屋をひや
かしたあと、ライブへ向かいました。
        
学生と一般の人が半々くらい、いつものライブより年齢層が低いせいでしょ
うか、友部さんは普段歌わない昔の歌をいっぱい歌いました。
       
なんでもない日には
なんでもない歌をうたおう
僕が逃げてたものは
まだ僕にひっついている
      
「なんでもない日には」
         
なんて歌われると気持ちが20代になってしまう。最後は最新アルバム収録
の「Speak Japanese,American」。選曲が完璧だった。友部さんの歌の厚みを
じーんと感じる。アンコールは「遠来」。広がりと深みのどちらも持ってい
る名曲中の名曲だ。
     
そして僕も君も
この地球の上で
わかりあえないまま
距離ばかりを大切にしている
     
「遠来」
       
この最後の部分に、いつもどきっとする。アンコールが終ると桃生くんがあ
いさつをした。感無量の表情だった。大学の施設は有料の催しはできないた
めライブの経費を作るためアルバイトをしたそうだ。今日のライブはそんな
桃生くん達の想いと友部さんが共鳴したからよかったのだな、と思った。
          
終了後みんなで記念撮影をし、友部さんご夫妻は新幹線で帰り(翌日は根津
の古書ほうろうでライブだった)、私達もまた奥の細道を猛スピードで南下
しました。つかの間の夏休みのような時間でした。
               
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「六ヶ所村ラプソディー」が上映されました。 2006.10.03  

10/1(日)、仙台で「六ヶ所村ラプソディー」の上映がありました。
約300枚チケットが売れたそうです。
      
天気はポスターにある六ヶ所村の空のように晴れていて「よし」と思う。娘
を連れて会場のメディアテークへ行くと受付には当日券を購入する長蛇の列
ができていた。託児室に娘を預けて、席に座る。6月にプレ上映された時は、
途中入場だったので見られなかった導入部分の六ヶ所村の真冬の景色と若手
津軽三味線奏者「倭」の美しさに圧倒される。主役の菊川さんがさりげなく
登場し、ゆっくりと再処理工場と六ヶ所村のことが語られていく。人口一万
ニ千人のなかで再処理工場に反対する人は数人。その人たちが一縷の光となっ
て暗闇のなかを幻影のように照らしている。語る言葉が見つからないほどた
くさんの想いをいただく。不思議なのは、困難な状況にいるはずの六ヶ所村
の人たちにむしろ元気づけられていることだ。
       
上映後鎌仲ひとみ監督の講演があった。小柄でにこやかな女性。この人が六
ヶ所村に単身2年間移り住んで映画を撮ったとは。映画のナレーションの声
がいいな、と思っていたら、その声の人だった。鎌仲監督は、重たい話題を
さらりと話す。ときには、笑いさえ交えて。バグダッドで空爆にあったとき、
シェルターのなかで蒸し焼きになるくらいなら、と屋上で空を見ていたそう
だ。そんな感情を表現するとき、人は笑うしかないんだな。質疑応答では、
若い学生らしい男性が積極的に手を挙げていた。ちゃんと勉強している質問
が投げかけられる。
        
上映後、理恵ちゃんが監督に「この人、古本カフェやっているんです」と紹
介してくれる。いきなりだったので言葉が出てこなかった。物販コーナーで
は飛ぶように本が売れていた。上映が成功した証だ。私も3冊買って、勉強
することにした。
        
次の日、火星の庭に理恵ちゃんと鎌仲監督が来てくれた。自分のお店の中だ
し、一晩たっていたので、あれこれ鎌仲監督とお話ができた。一番聞きたい
ことは「鎌仲監督を突き動かしているものは何なのか」、「どんな未来を思
い描いているのか」。愚問、やめた。「それは自分が考えることでしょう」
という声が聞こえてきたし。鎌仲監督はよく食べ、よく笑い、何にでも好奇
心を持ち、素敵でした。ケンの映像にまで興味を持って、ケンがビデオをあ
げたら本気で喜んでいました。「ばかばかしいですよ〜〜」と言ったら「そ
ういうの大好き!」ですって。
       
NHKの番組へ出演依頼があった(民放の「情熱大陸」のような番組を鎌仲監督
で作りたいという趣旨だったらしい)けど、断ったそうだ。鷹揚に見えてど
こかに毅然と線引きがあるんだな、と感じた。前日に買った監督の著書は店
になかったので(夜遅くまで読んで、全部家に置いてきていた)上映告知用
に店内に貼っていた「六ヶ所村ラプソディー」のポスターにサインをしてい
ただいた。版画の作者署名のようにローマ字で六ヶ所村の空の上にすっと描
いてくれた。
         
映画製作中、スタッフと意見の対立(どちらも良い物を作るための意見だ)
があり、何人かが離れていったりということもあったという。鎌仲監督がぽ
ろりと「完成してほんとうによかった」と言った顔が頭に焼きついている。
おなじくこの映画を上映したスタッフの苦労も並み大抵のことではなかった
と思う。鎌仲ひとみ監督、みやぎヒューマンドキュメンタリーを観る会の方
々、ありがとうございました。
      
       
とりあえず今日はここまで。(いつも長くてすみません)
      
       
「六ヶ所村ラプソディー」オフィシャルブログ
http://rokkasho.ameblo.jp/
       
    
鎌仲ひとみ監督インタヴュー 
(日本イラク医療支援ネットワーク サイト内)
http://www.jim-net.net/persons/persons03.html
        
    
坂本龍一による「ストップ六ヶ所」サイト
http://stop-rokkasho.org/
        
            
追加情報:「六ヶ所村ラプソディー」東京での劇場上映が決定。
週末には多彩なゲストをお迎えしてのトークショーが開かれます。
          
場所/東京ポレポレ東中野 
http://www.rokkasho-rhapsody.com/pole2.html
          
<タイムテーブル>
10/7(土)〜13(金) 10:30 
10/14(土)〜 11:00
<イベント情報>
★鎌仲ひとみ監督とゲストでトークショー
10/7(土)上映後12:30 本橋成一監督
10/8(日)上映後12:30 池田香代子さん
10/14(土)上映前11:00 桑原茂一さん 
10/15(日)上映前11:00 高木みのりさん
10/21(土)上映前11:00 土本典昭監督
10/22(日)上映後13:00 鈴木真奈美さん 
10/28(土)上映前11:00 海南友子監督
10/29(日)上映前11:00 坂上香監督
               
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『路上派遊書日記』刊行。 2006.10.02  

南陀楼綾繁さんの新しい本『路上派遊書日記』(右文書院)が届きましたよーー。
456ページ、各ページの下に注が300個。一人の編集者、古本狂の日常が綴ら
れています。
読んでいると止まらなくなります。登場する本や場所が生き物みたいに呼吸
していて、ロードムービーを観ているような気分になります。届いてから何
度も何度もぱらぱらとめくっては読みふけっています。とくに一箱古本市の
準備から後日のところは、身につまされました。
装幀はきりん果。題字はnakabanさんです。
     

       
今日何度目か、ぐぐーーーっと読んでいくと、後半部分387ページの注に
「book cafe 火星の庭」が!おや、この本は2005年の日記、
その頃はまだナンダロウさんと(直接は)お会いしていないはず…。
ぶぶーー、注を読んで爆笑。気になる方は、直接本をご覧下さい。
火星の庭に近々、サイン入りが入荷しますよーー。
    
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