2009年07月 → 戻る  
 
ブルーベリーチーズケーキ 2009.7.29  

 こんにちは、悟空です。って、前回の庭番便りを見てその気になって
る。「西遊記」大好きだから。テレビの。堺正章&夏目雅子のね。する
とケンは沙悟浄だろう。似てる!岸辺シロー。顔というよりキャラが!
いつも困った顔してるの。
「誰が困らせてるんだ!」←ケンのファンの声。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 ブルーベリースムージーが大人気!最近のカフェのオーダーではダン
トツ1位です。
 その色麻町産の無農薬完熟ブルーベリーをジャムにして、チーズケー
キをつくりました。
     
 すべて私が自宅で手作りしています。おいしいものは時間がかかる。
ジャムつくって、生地づくりに1時間、2ホール焼くのに3時間の半日仕
事。でもうまく出来上がるとうれしくて、やったー!と喜んでお店に行
くと「さっき、あがた森魚さんが来ましたよ」とケンに報告され、ガー
ーン。あぁ、お会いしたかった。前日に仙台でライブがあって、主催者
の知人が連れてきてくださった。お茶を飲んで、本もたくさん買ってい
ただいたということで、お会いできなかったのは残念ですが、うれしか
ったです。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 月曜の夕方から2泊3日で郡山に帰省。実家に置かせてもらっている
本の在庫を整理する。資材置場に保管しているので、湿気にやられて
ないか心配になったのだ。案の定、腐っている段ボールもあった。本
はなんとか無事。全部で40箱くらい。
 埃まみれになって古本と格闘している娘を見て父が「全部でいった
いいくらになるんだ」と聞いてくる。「なるよ。お金に。売れれば…」
その後の言葉を拒むようにきっとにらむ娘。50年以上商売をやってき
た父は、娘の商売を見て「やめちまえ」と言うのだ、いつも。
 店用、ネット用、市場行きに分けすべて片付けて、雨のなか高速を
飛ばして帰ってくる。この不景気、この梅雨。明日の市場、あまり期
待し過ぎないでおこう。


2009年を振り返るページ 作りました 2009.7.25  

 火星の庭の2009年を振り返るページを作りました。

   
    こちらからご覧いただけます。

 ページに行って各バナーをクリックすると
    それぞれの詳細を表示します。

 今回の庭番便りは健一が書いております。2009年の1月からこれま
でをまとめたこのページ、これを見返して思ったんですが、『旅』だな
あ…。なんか「西遊記」という感じがするなあ…。ただし、玄奘三蔵が
不在で孫悟空が引率していて、天竺が目的地じゃなくて行き先不明の西
遊記だなあ…。

 あと、久美子が先ほどこのページを見たんですが、この、今年やって
きた事柄の分量に、ひとごとみたいに笑っていました。


いろいろ 2009.7.24  

 古本と紙ものの新しい市をつくろうとしていて、昨日は会場候補の代
表の方にご挨拶。一昨日は有志で会合。和民で(笑)。企画内容はばっ
ちり決まっているのだが、市のタイトルに難渋している。酒が入るにつ
れて出てくるのはくだらないものばかり。「紙の時」(正実さん、ごめ
ん!)、東北を意識して「リアス式文庫」、名産の牡蠣を意識して「オ
イスター文庫」、移動型の市なので「旅紙様」「野ざらし文庫」「文庫
をもった若大将」…、まともな路線に戻りそうにないので、「あんたた
ち、もういいわ」とお開きに。おもしろかったけど単なる飲み会になっ
ちゃいました。この新しい市、まだ未定の部分が多いので、詳しいこと
は決まり次第ご案内します。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 来週末、せんだいメディアテークで、『スタジオ・レクチャー/日常
生活の編集術』
があり、その中で、当店もいつもお世話になっているラ
イター・編集者の南陀楼綾繁さんによるミニコミとフリーペーパーのレ
クチャーがあります。
 ・レクチャー2
    7/31(金)19:00-20:30
    「ミニコミ・フリーペーパー“紙”だからできること」
                (南陀楼綾繁×桂英史)
これはたいへん貴重な機会。青葉縁日の企画のひとつなんですね。
 ほかにも楽し気なイベントがいろいろ。お、「風の時」佐藤正実さん
シンポジウム「まちの記憶」にご出演ではないですか。正実さん達が
立ち上げたNPO「20世紀アーカイブ仙台」が始動するわけですね。すご
いなぁ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 明日は雑司ヶ谷でわめぞによる「みちくさ市」がひらかれます。東北
はまだ雨が止んでいませんが、東京は晴れますように。晴ーリーがんば
れ!話は戻りますが、新しい古本市のタイトルを考えていて、「わめぞ
のネーミングはいつもいいよね」、と話題になった。「古本縁日」「月
の湯古本まつり」「みちくさ市」どれも行きたくなるなぁ。あやかって
「みあいやあふ(宮城・秋田・岩手・山形・青森・福島)市」と言った
のはジュンちゃんだったか。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 ご心配をおかけしました車なのですが、ディーラーで点検してもらっ
たら、底をガガガガガーーと擦ったのに、異常なし。塗装も軽傷で、思
ったほどではありませんでした。まず、車が走るのには問題がないので、
来週の仙台の市場にど〜んと本を持っていって、稼がないと。とか言っ
て売る以上に買っちゃうんだよな…。とほほ〜。


夜は昼より長い 友部正人ライブと俳句会 2009.7.  

まずはお知らせから。

 わめぞの白シャツ王子こと薄田さんが6/20・21にひらかれた「わめ
ぞ古本縁日 in 仙台」の日記をわめぞブログにアップしてくれました。
幻燈器で照らされたようなノスタルジックな風景。まるでモノクロのロ
ードムービーのようです。
     http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20090720

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
       
 小学館の雑誌『BE-PAL増刊 b*p』にちょこっと本の紹介を書かせ
ていただきました。特集が「レッツ、村上春樹。」。いただいたテーマ
が「各界の村上好き&アンチ村上によるアフター春樹」というもので、
「村上春樹を読んだ後におすすめの本を選んでください」というリクエ
ストでした。アンチではないですが、あまり熱心な読者じゃないので、
気に入っている本を選びました。何を選んだか興味のある方は本屋さん
で見てください。
 選者には、ちょうちょぼっこさん、吉祥寺・百年さん、高遠・本の家
さん、恵文社さんもいらして、みなさんのコメントがおもしろいです。
一箱古本市当日に依頼をいただいて、〆切りが数日後。私の文章、いつ
にも増してひどい、です。すみません…。

              ◆

 今は今月〆切りで、「cafe de poche」の原稿を練っているところ。
京都の伊東琴子さん達の活動は、いつもユニークで楽しいので、お声を
かけていただいて光栄なのですが、テーマが「本と音楽」でこれまた難
物です。
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 では。友部正人ライブのレポートです。 

 友部さんライブ前夜、車ぶつけた…派手に。車両保険に入ってなくて
(入ってないの知らなかった)全額自己負担……。レッカー代と修理代
でたぶん数十万。しばらく車も使えない。倒れそうになったが、明日の
ライブを思って凹んだ気持ちを円くする。
 ということで「私が乗せていくから!打ち上げで飲んでね」と大見得
きっていたのに急転、T君に「ごめ〜ん」と車を出してもらって、ジュン
クのジュンちゃんと、わめぞ古本縁日で宿を貸してくれたラスチセのミ
キちゃんと娘の5人で出発。「怪我人がいなかったんだからラッキーだ
よ」とみんななぐさめてくれる。大雨で渋滞。みなさん参加していた先
月の一箱古本市のことなど話しているうちに1時間で到着。
 会場は真新しいログハウス。と言っても野暮ったいものでなく、別荘
のような洗練された建物。入ると木の匂いが立ちこめ、高い天窓から陽
射しが降ってくる。置かれた家具は北欧風の鮮やかなストライプのソフ
ァと壁掛けなどモダンで素敵。つい、ここが火星の庭だったら一階を古
本屋にして2階とテラスをカフェにするかなぁ。と妄想する。
 オープニングアクトはピアノマン・山本隆太さん。下北沢から来てく
れた。今日はクラビノーバで演奏。明るく豪快に見えるルックスに反し
て、隆太さんのピアノは優しく繊細。そして抜群の笑顔。音楽好き、楽
しい!というのが伝わってくる。大好きな友部さんのライブではじめて
演奏するので緊張している、と何度か言っていたけど、完全に隆太ワー
ルド。途中、国分町のバー「ブルックリン」のマサオさんがサックスで
飛び入り参加。最後は名曲「うたの歌」で涙腺がゆるゆるになった。
 隆太さんは8/9(日)の七ヶ浜国際村(砂浜が広がる海の目の前)で
開かれる「宮城うたの日コンサート」にも出演。ほかに三宅伸治BAND、
風見堂、カラーボトル、リクオ、BLACK BOTTOM BRASS BAND、松千
という豪華な面々です。企画・司会はテリーさん!チケットはローソン
チケットまたはチケットぴあ。残り僅かだそうですのでお早めに。なん
と、あの近藤商店が屋台で出店。牛タン串焼きもあるかも!
 友部さん登場。オレンジのシャツがお似合いです。アルバム「歯車と
スモークド・サーモン」の曲をおもに、MCは控えめに、どんどん歌っ
ていく。最大の聞きどころは「公園のD51」だったかな。ライブで聞
くのははじめてだった。声もギターも天井の高いログハウスになじん
で、やさしく聞こえる。
 2部は「言葉がぼくに運んでくるものは」から。アカペラで足踏みし
て踊りながら歌う友部さんがとても(失礼かもしれないが)キュート。
娘もうれしそうに手拍子してる。リズム合ってないけど…。明るい曲、
静かな曲、ラブソング、身近な曲、スケールの大きな曲、友部さんの歌
はほんとうに多様だ。人が生きていていろいろなことを感じるように。
 アンコールは今、一番好きな「サン・テグジュペリはもういない」を
歌った。言うまでもなくサン・テグジュペリは「星の王子様」の作者で、
飛行機で飛び立ったまま帰らぬ人になった。友部さんは来年60歳。歌の
なかに死について感じることが増えているような気がする。近しいミュ
ージシャンが次々亡くなっているからか…。でも友部さん本人は3時間
歌い続けてもまったく平気そうだった。
 隆太さんが再度登場。友部さん訳詞のSam Cooke「Bring it on
home to me」をふたりで歌う。男のどうしようもない恋心を歌った
曲。離れてしまった恋人の心がもう一度戻ってくるように、捨て身です
がる歌。強さとはだれかを想う深さであり、深い想いは美しいなと思う。
女が歌うとどうだろうと思った。

 恋をして別れるよりも
 奴隷になってきみといたいよ 

 かまわないよ 今でもまだ
 ぼくは きみの きみのものさ

          友部正人訳「Bring it on home to me」一部

 打ち上げは4時まで続いたらしい。私は2時まで。T君にごめんねとま
た言ってかなり飲んだ。翌朝早く、友部さんは富谷町から紫山までジョ
ギングで往復したというからたまげる。20キロくらいか。6月には花巻
と水沢の100キロマラソンを完走したそう。仙台はいいところなんだけ
ど走るところが少ないと言っていた。それがあれば仙台に住みたいくら
い、と。本気にしたくなる。
 友部さんは翌日の火星の庭俳句会にも参加。隆太さんも七が浜でのラ
イブの後、俳句を持参して参加。作者は伏せているのに、友部さんの俳
句には点が集まる。

 車窓から夏の広さを測る旅      豆腐屋(友部正人)


 20代の新鋭、創一君の俳句に主宰がうなる。

 静けさが耳鳴りとなる木下闇     創一

 背泳ぎの空どこまでも私だけ     創一 

 この日は参加者で最高得点者と主宰が選んだ特選句に主宰の直筆の短
冊が贈られた。参加者トップ賞は、弘子さんの俳句。

 故郷の井戸の深さや夏の空     弘子

 主宰の特選句は、なんと!火星庵でした。めずらし〜〜うれしーーー。

 夏の月無人の電車うごきだし    火星庵

 いただいた短冊の俳句。

 平家納経春蝉の匂いせり      誠一郎  


 集まった句は60句。15名参加でお酒を飲みながらにぎやかに言葉で
遊ぶ。そう、遊びだから楽しくどこまでも真剣になる。
 横浜へ帰る友部さんを見送った後、5人で近藤商店へ。そして、マサ
オさんのお店ブルックリンへ。外へ出たら朝になってた。


月の船 2009.7.17  

月の船



 炎がわたしを探してる
 だけど炎はわたしには届かない
 わたしは夕闇の中にいて
 セーターのふりをしているから
 月が炎をおびきよせてる
 あなたは空気の船に乗る
 おろかなことをくりかえし
 炎はやがて灰になる

       
 友部正人「月の船」一部/CD『夢がかなう10月』より

   

 これは阪神大震災(1995年1月)のことを歌ったのだと思う。
1996年に発売されたCDのなかの曲。「そう思う?」と友部さんは言う
かもしれないけど。最後にこうある。

 死者たちはみんな空気になって
 1月の空からおりてくる


 それとも友部さんにいつか聞いたことがあったのかもしれない。
阪神大震災の歌だよと。でもそんなこと言わないような気もするし。

 友部さんに詩を書くときのことを聞いたことがある。
「意味からなるべく離れるように書く」と言っていた。
謎解きみたいな友部さんの詩を、勝手に解釈したものを手紙に書いて、
よく東京の友部さんのところへ送っていた。ドイツにいた頃で、月に一
回は友部さんに手紙を書いていた。半年に一回くらい返事が届いて、私
はまた次の半年を乗りきった。22歳のころのこと。
 この前の定休日に友部さんのライブ盤をお店でかけていて、「月の船」
の詩がとてもいいなぁ、と思った。
 今日は店がすごく静かだけど明日のライブがものすごく楽しみなのだ。


友部正人ライブ
7/18(土) 前売:3500円 当日:4000円 (ドリンク代別)
会場=『Do! it! Brothers.』宮城県黒川郡富谷町上桜木1-37-6
    問合せ: 090-2777-0183
 ・会場はジャスコ富谷店のそばです。駐車場あります。
 ・車のない方は地下鉄泉中央駅まで送迎しますので
  上記の電話番号までお問合せ下さい。


『B!B!S2009』ご報告ページ 作りました。 2009.7.16  

6月の1ヶ月の間行ってきました
  『Book! Book! Sendai 2009
    〜6月の仙台は本の月〜』
   のご報告ページを作りました。
くり返しになりますが、お世話になった全ての皆様、ありがとうござい
ました!各企画にご来場下さったお客様、ありがとうございました!

ご報告ページは、
 
  こちらからご覧いただけます。


 ページに行って、各企画のバナーをクリックするとそれぞれの詳細
 を表示します。
 
(通常、庭番便りは久美子の執筆ですが)本日は健一が書いております
る。「イベントはその後のご報告が大事」と、久美子と私とで意見は一
致していますが、これまではちゃんとご報告できない場合も色々ありま
したので、今回はしっかりご報告しよう!と、気合いを入れてこのご報
告ページを作りました〜〜〜!僕のイメージとしては、イベントをやっ
てご報告しない状態は、「砂漠のような場所で、井戸から水をくみ上げ
て、その水を、いれものに入れないでそのまま地面に流しちゃう」よう
な感じでして、本当だったら終了後すぐご報告をアップしなくてはいけ
ないところですが、店の通常営業もしながらで、ご報告事項もかなり多
いため、もう7月も半分経過した今日のアップとなってしまいました…。
 今回のもまだ載せきれていない点、書き足りないところ等々あります
ので、この後できれば加筆していきたいですが、できるかな…??とり
あえず今日この状態でアップしましたーーー!ご報告の文章は久美子、
構成などは私が担当しております。どうぞお時間のあるときにご覧いた
だけましたら幸いです。よろしくーーーーーーーーー!!!!!


魚雷さんが河北新報で連載! 2009.7.15  

 荻原魚雷さんの連載が河北新報夕刊ではじまりました。「まちかどエ
ッセー」という仙台にまつわるコラムです。第一回が7/13(月)に掲
載。火星の庭の文壇高円寺古書部のコーナーに展示しています。
      
 今後は8月3日、17日、31日、9月14日に掲載されます。

 魚雷さんは、来月の仙台七夕祭りを見に来られそうとのことなので、
晴れるといいなぁ。毎年3日間で200万人以上やってくる東北3大祭りの
ひとつ。ふきながしを片付ける0時前頃、観光客が少なくなってから歩
くのが(私の)定番です。

 コラムでは先月のわめぞの古本縁日にも触れてありました。三重にい
らっしゃるご両親に仙台へ移り住んでくれないかと思うほど、仙台を気
に入っているということも書かれてあり、つい広瀬川沿いのマンション
を物色しちゃうのでした。仙台の本好きにとっても魚雷さんのような古
本通にかよっていただくのは、たいへん嬉しいことなのであります。

    ★荻原魚雷さんのブログ「文壇高円寺」はこちら
       http://gyorai.blogspot.com/


『一箱古本市 in サンモール一番町』ご報告 2009.7.14  

 これ以上ないくらいの快晴。晴ーリーありがとう!
9時到着、早朝(私には)。すでに武田さんがいて、受付の準備や出店
位置のマークを地面につけていた。オハヨー!お互いの笑顔にようやく
ここまで来たね、という気持ちと、今日一日無事に終えたい緊張感がど
っちもある。
 9時半くらいからボランティアスタッフや出店者が集まってくる。ボ
ランティアは11名。10代から40代の明るく、頼もしい人達。この人達
に会えたのもBook! Book! Sendaiの大きな収穫。
 出店者50名が全員そろい、みなさん問題なく店開きできて、11時ス
タート!

 一番端とはいえ、繁華街中心部のアーケードなので人通りは多い。
みんな、あれ!?という顔をして通り過ぎる。その中に箱をのぞく人が
ちらほら。やる方も見る方も様子を探りながらという感じ。この場に
南陀楼綾繁さん、岡崎武志さん、塩山芳明さんという強者がいてくれる
ことがものすごく心強く感じる。お昼近くになると一箱古本市めざして
来てくれた人達が目立ちはじめ、和気あいあいといい感じになっていく。

 南北にひかれたアーケードをときおり風が通り抜けていく。人がいて、
本があって、街があって、それだけで成立する一箱古本市ってほんとに
いいな、と思った。でも実は、仙台では前代未聞のアーケード(公道)
でのフリマ形式のイベントをやるにあたって、様々なハードルがあった。
問題がクリアできたのが1週間前。当日だって、どんなアクシデントが
あるかわからない、と覚悟していた。特に交渉の矢面に立った武田さん
は、詩人という繊細な神経に蓋をして、連日駆け回ったのだ。
 でもでも、絵本をみつけてうれしそうな親子連れや、古い地図を見て
説明してくれるおじいちゃんや、隣の出店者同士で話が弾んでいる様子
など、いつもせかせかしているアーケードがゆったりと時間が過ぎてい
くのを見ると、ただただ本当にいい風景だなぁと思った。 出店者でも
ある河北新報社さんがアップしてくれたこちらの動画をご覧いただける
と雰囲気が伝わるかと。
 東京から参加してくれたモンガ堂さんにどうですか?売れますか?と
聞くと「いや〜仙台の人はシブい」と。足を止め、箱の中をのぞくのだ
けど、手に取らない。「なんか手に取ったら買わなきゃいけないと思う
のかな」。そうそう、東北人はシャイだから。でもていねいに見ていく
人が多かった。
 貸本喫茶ちょうちょぼっこさんのところは、いつも女子の人だかりが
できていた。福島さんの知的なオーラがお客様を引きつけるのだ。前日
行った『〜私のブックカフェをつくろう〜/ブックカフェ講座』といい、
福島さんにはいろいろな形でご協力いただいた。夕方の飛行機で大阪へ
発っていった。ありがとうございました!
 「交通費を稼がないと帰れない」とはじめ悲愴な顔をしていた塩山さ
んが交通費+おつりが出るくらい売れて、ニッコニコ。並べている本が
文芸書の文庫を中心にいいものばかり。川崎長太郎や柏原兵三などを買
わせていただいた。前日に行ったトークショー、『いがらしみきお×塩
山芳明 〜漫画家vs編集者 出版業界最底辺を語る〜』
の話になって、
漫画編集をしている塩山さんのところに漫画家が売り込みの電話をかけ
てくる時、「ペラペラ自分のことをPRする奴の漫画はつまらないんだ」
「たいてい口下手で、社交性のないような奴の漫画の方がおもしろい」
という話が興味深かった。
 岡崎さんの一箱古本市で売っている姿は、すでに型を感じるほど絵に
なっている。ほとんど休憩も取らず立ちっぱなしだったので、受付の椅
子をお貸しすればよかったと、後で後悔した。6月初めに東京でお会い
したときに出店してください、とお願いして、本当に参加してくれた。
昨年のブックトークのときも来ていただいて、この『Book! Book!
Sendai 2009 〜6月の仙台は本の月〜』開催について悩んでいる時、
背中を押してくれたのも岡崎さん。力を貸してもらってばかり。それに
見合うことは何一つできてないのでは、と心細くなるが、いずれちゃん
と準備をした企画でご出演をお願いしたいなぁ。
 商店街の人達も普段にくらべてたくさんの人がいるので喜んでくれた。
終了後は「今度はいつやるの?秋?」って聞かれて、うれしかった。
さすがに秋にはできないけれど。
 16時になって賞の発表。審査員は南陀楼綾繁さん、岡崎武志さん、
塩山芳明さん、秋月高太朗さんにお願いして、これはと思う方を選んで
いただいた。Book! Book! Sendai審査員長はプレスアートの敏腕営業
・並木女史。常に冷静、公平な判断をされまする。そして美しい。って
いうか受賞者の女子、みんなかわいい!
 
 皆さんなかなかの成績。一出店者の最高額は22,300円。最高冊数は
119冊だった。
 定刻通り17時終了。備品を車で運んで、出店、ボランティア、お客様
で来てくれた友人達とドトールでお茶して、文化横丁の打ち上げ会場へ。
南陀楼綾繁さん、岡崎武志さん、不忍ブックストリートの一箱古本市の
常連の方々、広島の財津さん、出店者、Book! Book! Sendaiメンバ
ー、などなど。木造の2階に、30人近く集まる。床、大丈夫かしら…。
盛大に乾杯。岡崎さんのとなりでジュンちゃんぱかぱかビールをあける。
「この日のためにお酒控えていたんですー。」「じゃ、飲んでなかった
の?」「いえ、たしなむ程度に。」って、控えてないじゃん!
 広島の財津さんをモンガ堂さん、と何度か言っていたらしく、「悪い
けどオレ財津だから」と苦笑される。す、すみません。財津さんには、
失態ばかりで前野久美子は完全にオカシイ、と思われただろうなぁ。
いや財津さんだけにではないだろうけど…。クーラーのないところで、
ぎゅうぎゅうな熱い飲み会。日付が変わり、我が家にお泊まりの南陀楼
さんに「先に帰ってるね」と言われ、見渡すとつぶれている人が何人か
…。帰る手段のない人達に「ウチにおいで」と酔っぱらい3人を連れて
帰る。ケンになんとか布団を4枚敷いてもらって、そこに5人でザコ寝。
あ、5人+1/2人。南陀楼さんは呆れた様子で別室で就寝。トークに一
箱古本市とありがとうございました。
 こうして今年一番長かった一日が終わったのでした。

 商店会の皆様、おかげ様で無事開催できましたこと、お礼申し上げま
す。出店者の皆様、遠くの方も近くの方も楽しんでいただけましたか?
ご参加ありがとうございました。ご来場いただいた皆様、いい本は見つ
かりましたか?ありがとうございました。ボランティアスタッフの皆様、
満足なお礼ができないのに、こき使ってしまいましたがお疲れでなかっ
たですか?できればまたよろしくおねがいします。

 Book! Book! Sendai メンバーのみんな、お疲れさまーー!!


また最近のお知らせ 2009.7.12  

 和田さんからブルーベリーが届きました。
ブルーベリースムージーが初登場です。
  
 宮城県色麻町の無農薬完熟ブルーベリーをたっぷりと、山形県朝日村
のさくらんぼのはちみつと、低温殺菌のよつば牛乳とヨーグルトで目も
覚めるようなブルーベリースムージーができあがりました。ブルーベリ
ーがある時期だけ。8月くらいまでの限定です。
一度、飲んでみてください。 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 神戸のみずのわ出版の柳原さんが仕事で北東北へ行く途中にご来店く
ださった。柳原さんはぱっと目を引く方で、お会いするのは2度目なの
だが、前回と同じように飄々と現れた。短パンにサンダル、リュックに
ヒゲ、肩から手ぬぐいかけて。ま、平たく言うと出版業界人っぽくない
風貌。なんだかうれしくなって、新幹線の時間があるのにお引き止めし
てしまった。

 気になっていた『古書往來』を注文させてもらった。みずのわ出版の
本は本好きの心をくすぐるものが多く、ずらっと並べたいのだが、新刊
書は古本屋ではあまり売れないので、ジュンク・ロフト店の佐藤純子さ
んをご紹介する。後日、ジュンちゃんと「いいよねー、柳原さん。」と
言い合った。こんどぜひ3人で飲みたいものです。
 
  『古書往來』 高橋輝次 みずのわ出版 2800円+税

 本日入荷しました。どのページにも古本への愛がみちています。本か
ら本へ果てしなくつながっていく物語。ときどき差しはさまれる著者の
つぶやきもいい。図版や索引も豊富なので、古書の勉強にもなります。
すべて著者サイン本。装幀は林哲夫さん。巻末の文章は扉野良人さん。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 3月に倉敷へ行ったとき、蟲文庫さんでお会いした藤井豊さんから写
真展のお知らせをいただきました。荻原魚雷さんも絶賛するカメラマン
です。


 藤井さんの写真は、ふっと素直な気持ちになる写真なのです。知らな
い土地に行ってはじめて見る景色に触れるような。透明な視線を感じま
す。会場も素敵なところのようです。蟲文庫さん経由で行けたらどんな
に楽しいでしょうか。あぁ。

 ★藤井豊さん ブログ 
http://fujiiyutaka.seesaa.net/
 ★『オキナワノハナ写真展』の情報はこちら

 栞の形をした告知カードがすてきです。あと少し残っています。藤井
さんから電話をいただいて「カードを送ってもいいかな?」と聞かれて
「もちろんどうぞ。藤井さんだったらいつでもなんでもいいですよ」と
言ったら、「そんな、一回しか会ってないのに…」と言うので、一回も!
会った(しかも写真を見せていただきながら飲んだ)じゃないですかー。
と思った。一回会えば友達、と思うのはよくない習性だろうか…。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 6月のBook! Book! Sendaiの一箱古本市に参加してくださった、
貸本喫茶ちょうちょぼっこさんと岡崎武志さんの一箱古本市で残った本
を火星の庭で販売しています。まだまだおもしろい本がありますので、
この機会にぜひお求め下さいませ。8月いっぱいの予定です。
 Book! Book! Sendaiは終わった後もちらほら余波が続いていて、
発展的な流れが起きてきています。イベントをやってそのとき盛り上が
って終わり、ではなく、そこからどう展開していくかが肝心だと思いま
す。無理なく、楽しみながら、惑わされず、Book! Book! Sendai
らしくやっていけるのではないか、と思っています。とりあえずバーベ
キューしようよ。と言うのは私。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 最近は閉店後、お店で飲んでいます。「Book! Book! Sendaiで忙
しそうだったから」と気遣っていた友人が、7月に入って代わる代わる
訪ねてくれる。6月のBook! Book! Sendaiのイベントは平日が多かっ
たから、来たくても仕事で来れなかった人も多いみたい。みんな40歳
前後になり、中間管理職というのでしょうか。上と下に挟まれて悩み
が尽きないようです。20代の頃をやたらと思い出すのもこの世代の特
徴なのか、20代からの友人と「あの頃は、ねー、わははー」と話す
ことも多い。やっぱり一対一で話すのが一番好き。
 6月のことはときどき記憶がないくらい目まぐるしくて、7月の静け
さにほっとしている日々ですが、お店的には困ります。ほどほどがい
いのですが。私にとってほどほどが一番むずかしい。


最近のお知らせ。2009.7.10  

 友部正人さんが東北へやってきます。仙台は7/18(土)。場所はお
となりの富谷町にある『Do! it! Brothers.』。ここは毎度ライブの
度にお世話になっているテリーさんの妹さんご夫妻が今年オープンし
たデザイン事務所兼ライブハウス。ログハウスの立派な建物なのです。
富谷町はどんどんあたらしいお店が増えていって、となりにはおいし
いレストランがあるそうです。土曜だし、富谷散策を楽しみながらの
んびりいらしてみてはいかがでしょうか。
    
友部正人ライブ
7/18(土) 前売:3500円 当日:4000円 (ドリンク代別)
会場=『Do! it! Brothers.』宮城県黒川郡富谷町上桜木1-37-6
    0902-777-0183
 ・会場には駐車場あります。
 ・車のない方は地下鉄泉中央駅まで送迎しますのでお問合せ下さい。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 中央線の3駅の古本屋ガイド「おに吉」(「オ」ギクボ・「ニ」シオ
ギクボ・「キチ」ジョウジ)第4号が届きました。
   
 楽しく読みごたえのある内容です。編集長は岡崎武志さん。デザイン
は興居島屋の澄子さん。久住卓也さん画のおに吉くんが最高。スズキコ
ージのエッセイもいいー。歌あり、漫画あり、山崎ナオコーラさんによ
る金子光晴へのオマージュあり。もちろん詳細な古本屋地図付。
 好評配布中です。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 オンライン書店の「海ねこ」さんから古書目録第一号を送っていただ
きました。B5版100ページの大著です。
  
 明治期から現代までの美しく、貴重な絵本、児童書があふれんばかり
に載っています。一点一点仕入れ、パソコンに打ち込んでいったと思う
と、どれほど長い道のりだったでしょう。先日上京したときにお会いで
きて、「古本縁日に行きたい!けど目録が佳境なの」と制作の話を聞い
ていたので、届いてしばらく見入りました。ほしい方は問い合わせてみ
てはいかがでしょうか。
  online bookstre 古本 海ねこ 
http://www.umi-neko.com/

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

  
 久しぶりにラムチョコチーズケーキをつくりました。ひんやりコクの
あるお味です。

 もうすぐ和田さんの畑からブルーベリーが届くので、ジャムにしてレ
アチーズケーキを作る予定です。眼によいとされるブルーベリーですが、
和田さんのものは食べたそばから視界がくっきりするような気がします。
ブックカフェにはぴったり。たくさん入荷したらスムージーでもメニュ
ーに登場するかも。

 火星の庭でのイベントはしばらくお休み。どうぞ夏の合間に普段の火
星の庭でのんびりゆっくりくつろいでください。お待ちしています。

 ★Book! Book! Sendai 2009
    〜6月の仙台は本の月〜

       のレポートはつづきます。
 


『ブックカフェ講座』『いがらしみきお×塩山芳明 トーク』ご報告 2009.7.8  

       「 Book! Book! Sendai 2009 」
           〜6月の仙台は本の月〜
          各イベントのご報告シリーズ。

             今回は
        6/26(金)に行った二つのイベント
         『ブックカフェ講座』 と
      『いがらしみきお×塩山芳明 トーク』
             です。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

6/26(金) 「私のブックカフェをつくろう」ブックカフェ講座

 
 2時間でブックカフェを構想する講座。
案内役は大阪の貸本喫茶ちょうちょぼっこ・福島杏子さんと、
     仙台、book cafe 火星の庭・前野(私)の二人。
 
参加者32名。県外の方もいらっしゃった。ほとんどが女性だが男性も
数人参加。
 福島さんによるちょうちょぼっこの紹介からスタート。友人達4人の
共同経営で、普段仕事をしながら週末だけオープンしていることなど話
していく。オープン直後に発行した冊子「本箱」(本好き女性の目線で
編集した関西の古本屋ガイド)の実物を回覧する。和綴じで1000部っ
てすごすぎるよ。ファイルには今までおこなったイベントのDMも入っ
ていて、数々の魅力的な企画を行っている。
 次に火星の庭の紹介。知っている方も多いので店のスタイルの要点
だけを控えめにお話して、ほかのブックカフェの紹介にうつる。
 まず、大阪の Calo bookshop & cafe 。新刊書、古本、ミニコミ、
ギャラリー、カフェがあいまるこれぞブックカフェ的なお店。本、カフ
ェ、ギャラリーのどの分野もきっちりされていて、それぞれの欲求を充
分満たしてくれる一店で三店分あるお店なのだ。続いて、千駄木にある
ブックス&カフェ・ブーサンゴ。ヨーロッパのブックカフェのような素
敵なお店。不忍ブックストリートの中心部にあり、一箱古本市に行った
ときは必ず寄っている。ちょうど南陀楼綾繁さんが客席にいらしたので、
前へ来ていただいてブーサンゴの紹介をしてもらった。次は経堂にある
ロバロバカフェ。ブックカフェとうたってはないけれど、奥のミニコミ
スペースは大充実。店内の壁をつかった展示企画もひんぱんで、フリー
ペーパーを発行し、古本市も開催。お店は小さくとも人への間口はとて
も広いお店。カロさんもロバロバさんもお一人でお店をやっている。こ
れからお店をやろうという人には、参考になるでしょう。最後に番外編
として古本酒場コクテイルをご紹介。仙台にはないタイプのお店を知っ
てもらって、やる人それぞれでお店のタイプが変わること、何よりお店
づくりは自由である、ことが伝わったらいいなぁ。
caloさん、ブーサンゴさん、ロバロバさん、コクテイルさん、画像提供
・ご協力ありがとうございました!
 実際、お店づくりはハードルが高い。いろんな制限、条件が頭をもた
げてくる。でもはじめる前は「どんなお店にしたいか」非現実的なとこ
ろまで発想することがすごく大事な気がする。まだ現実の実務をしてい
ないときにたっぷり夢想していたその理想が、途中くじけそうになる時
に支えるのではないか。軌道に乗ったらあれをやりたい、うまくいった
らああしよう、と思っていても軌道に乗った後に冒険するのはかえって
むずかしい気がする。無制限な理想から引き算して現実化しくことを提
案してみた。
      
 発展編として、福島さんが先月行ったイギリス古本の街、ヘイオンワ
イのことを。福島さんにこの講座に出演依頼したときに、ちょうどイギ
リスへ行く直前で、じゃヘイオンワイの写真とってきます。それはいい
ね。と楽しみにしていた。
 古いお城が古本屋になっていたり、詩や絵本の専門店が石造りの洋館
だったり、素敵すぎ。ロンドンから電車で3時間、そこからバスで1時間
かかる田舎というから驚く。カフェや宿泊施設もたくさんあって、夢の
街ですね。ここで、日本にも本の町ができそうですよ、と長野県高遠町
の話をすこし。8月には「高遠ブックフェスティバル」も開かれるそう。

 質問タイムでは、厨房の施設費用、万引き防止について、開店資金な
どかなり具体的な内容がでた。ちょうちょぼっこさんには4人でやって
いて役割分担はどうしているか、など。この辺りのくわしいことは、何
やらメンバーの大泉さんが詳細にメモをとっていて、後日まとめるとの
ことなのでそちらでご覧いただけると思います。
 後半は、事前に配っていたワークシートに記入してもらい、それを集
めてみんなで見た。シートの片側は質問事項に記入するかたち。もう一
方は、店内のレイアウトを四角の枠に書込むのと、メニュー欄。みなさ
んユニーク。店内に囲炉裏や暖炉のある人もいた。店名まで考えた人も
いた。時間があったらコピーしたかったけど、次のイベントも迫ってい
て断念、残念。2時間でおさまり、なかなか盛り上がりました。パート
ナーが福島さんで楽しく、スムーズに進行できてありがたかったです。
 
 参加いただいた皆様、ありがとうございました。感想などお聞かせい
ただければうれしいです。
 福島さん、遠いところまで来ていただいてありがとうございました。
また楽しいことやりましょう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

6/26(金) いがらしみきお×塩山芳明 トークイベント
     「漫画家vs編集者 出版業界最底辺を語る」 19:00〜20:30

 Book! Book! Sendai 2009で行うトークイベントはこれのみ。
トーク企画は意外とむずかしいのだ。でもこの3人ならおもしろいこと
は間違いない、と思っていた。定刻通り19時に、いがらしみきおさん、
塩山芳明さん、司会の南陀楼綾繁さんがステージに登場。
南陀楼さんが「ぼのぼの」ファンの親子連れとかいたらちょっとやばい
話がでるかもしれません、と前振りする。
 
 いがらしさんが今年漫画家生活30周年で、いままであまり人前に出な
かったが、今年はテレビやサイン会などいろいろなことに挑戦していて、
このトークも漫画家生活30周年記念事業の一環です、とのっけから笑い
をとる。
 いがらしさんはデビュー当時、塩山さんが編集するエロ劇画誌に漫画
を描いていた。そのころたいへんな劇画ブームだったという。(あぁ、
そういえば私も小学校の頃、お父さんのエロ劇画雑誌を読んでいたな、
と思い出した。テレビでは11PMやトゥナイトを観て、それでずいぶん
世の中を知ったんだっけ。)当時のいがらしさんのインタビューが載っ
た雑誌のコピーを来場者全員に配って、その話にまたまた大笑い。いが
らしさん、かなりのパフォーマーです。
   
 後半に塩山さんが撮影した自宅から仕事場までのビデオを上映。塩山
さんは群馬県から東京の事務所まで毎日、新幹線通勤しているのだ。の
どかな田園風景から、都心になると画面がブレブレ。しかし妙にかっこ
いい。生原稿から雑誌に載るまでの手順も紹介されて、おもしろかった。
 いがらしさんと塩山さんは、いがらしさんの休筆宣言の後、一旦おつ
き合いが途絶える。超人気作家になったいがらしさんは、月に〆切り22
本、一日15時間以上描いていたそう。トイレと食事と寝る以外はすべて
漫画を描いている暮らし。多いときで月に120枚描いたと言う。心身の
限界がきたのだろう、あるとき突然2年間の休筆宣言をする。そして復
帰後の第一作が「ぼのぼの」なのだ。浮き沈みの多い漫画業界で変わら
ず漫画家と編集者として仕事をし続けてきた二人が、3年前、塩山さん
の著書「出版業界最底辺日記」をいがらしさんが偶然本屋で手にとった
ことがきっかけで、ふたたび出会う。
 「こいつはえらいよ〜」と塩山さん。「普通は売れっ子になって仕事
を減らすときは、弱小出版社の仕事を削るじゃない?そうじゃなくて、
メジャーなところもマイナーなところも全部いっぺんにやめちゃったん
だ。そんな奴はいない」。二人とも言葉と態度に飾ったところがない。
「僕は塩山さんが大好きなんです」といがらしさんが屈託なく言うのが
素敵だった。あの塩山さんが照れて返せないのも微笑ましかった。
 南陀楼さんの質問に答えて、いがらしさんがこれから描いていきたい
作品のテーマを語ると、みんな聞き入っていた。それはほんとうに心か
ら読みたいと思わせるテーマだった。最後は漫画家生活30周年記念事業
の一つ、記念Tシャツプレゼント。いがらしさんと大ジャンケン大会。
 
わーわー盛上がり終了。ほんとうにいいトークだった。終わってからの
サインの列がこれまたすごかった。
 いがらしみきおおさん、塩山芳明さん、南陀楼綾繁さん、楽しい時間
をありがとうございました。打ち上げに行く途中で「すごくおもしろか
ったです」といがらしさんに言うと、「用意していたネタ、もっとあっ
たんだけどな〜」と笑う。プロ魂を感じました。

 ご来場の皆様、東京や他県からもたくさん来ていただきました。
ほんとうにありがとうございました!

 打ち上げはご出演者のほかに、東京から岡崎武志さん、貸本喫茶ちょ
うちょぼっこの福島さん、塩山さんの盟友、多田さん、山崎さん、いが
らしみきおオフィスのクマガイコウキさん(ぼのぼの劇場版2作目の監
督さん)、広島の財津さん、出版社S館のTさん、Book! Book! Sen
daiメンバーと一緒ににぎやかに焼き肉。ビールがおいしかったー。

 さぁ翌日はサンモール一番町で一箱古本市ですよー。おーー。


6/25(金) 一人語りとピアノ「きりぎりす」 2009.7.8  

「Book! Book! Sendai 2009」
  各イベントのご報告シリーズ、今回は、
   6/25(木)『一人語りとピアノ「きりぎりす」』 です。

  
 仙台在住の俳優・演出家、白鳥英一さんと音楽集団yumboのリーダー
澁谷浩次さんによる公演。
 「きりぎりす」は太宰治中期の短篇小説。全編が女性の告白体になっ
ている。
 舞台は障子の部屋に男性と女性の絵が2枚飾られ、小さな文机、文机
の上には原稿用紙とお茶とお酒。床には散乱した白黒写真。枯れた花が
いけられた花瓶が立っている。
 ピアノが静かにながれる。数分後、和服姿の男が登場。机の原稿用紙
をぶつぶつ読み上げた後、ばたっと寝転んでため息をつき
 
「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました」

 と「きりぎりす」冒頭を語りはじめる。ここで和服姿の男が太宰で、
今書き上げたばかりの「きりぎりす」を暗唱しているところなのだと気
がつく。
 感情の昂り、沈滞のたびにピアノが引き継ぐように音を奏でる。
言葉のようなピアノだし、ピアノのような台詞だと思った。

 火星の庭で稽古をしていたので何度も「きりぎりす」を聞いてきた
のだが、本番に出るエネルギーはとんでもないのだと思った。役者の
白鳥さんは狂ってしまったのではないか、とさえ思った。
  
 個人的な感想では、本番前々日のゲネプロがもっともいい出来だった
と思うが、でも出来とか不出来を越えたものが本番にはあった。できれ
ば一回公演でなく、5回くらいあればもっともっとおもしろいものにな
ったと思う。白鳥さんに聞いたらこれからも「きりぎりす」は演じてい
くということなので、次も楽しみです。太宰作品ということでときどき
感想などを言わせてもらったりしたので、少し演劇をつくる側の気分も
味わえて、刺激的でした。

 白鳥さんには公演だけでなく、シアターのほかの企画で舞台監督、音
響、照明などの専門的な裏方を一手に担当していただいた。白鳥さんの
誠実で献身的ともいえるご協力がなかったらシアターでのすべての企画
はできなかったでしょう。ほんとうにありがとうございました。一緒に
サポートしていただいた南川さん、若柳さん、遊佐さん、ほかスタッフ
のみなさまありがとうございました。
 白鳥さんは今月も自分の劇団による公演があります。書き下ろしの脚
本だそうで観に行こうと思っています。★情報はこちらから!★

  (今回も写真はBook! Book! Sendaiメンバー・佐藤正実さん)


『センダイボンパク・第二部』ご報告 2009.7.7  

「Book! Book! Sendai 2009」
  各イベントのご報告シリーズ、
   今回は「仙台本の博覧会 センダイボンパク」です。
    (二部構成で、先日アップした第一部のご報告に続き、
           本日は第二部のご報告)

センダイボンパク 第二部 「いま、仙台で本をつくる」
     6/25(木) 16:45〜18:00
  
 「センダイボンパク」第二部の出演者は8名。「いま、仙台で本を
つくる」というテーマで活発に発言が交わされました。
 壇上には仙台で書籍、雑誌を出版する方々がずらりと勢揃い。
  
 ★「りらく」編集長・浅井宣夫さん
 ★「S-style・Kappo」編集長・川元茂さん
 ★せんだいメディアテーク副館長・佐藤泰さん
 ★笹氣出版印刷株式会社部長・只野俊裕さん
 ★荒蝦夷「仙台学」編集長・千葉由香さん
 ★河北新報出版センター・早坂敏明さん
 ★北燈社代表取締役・早坂弘美さん
 ★「ふきながし」吉岡英夫さん
 ★コーディネーター・大泉浩一(編集者・ライター)さん

 はじめにどんな本づくりをしているかお一人づつ聞きました。そして
出版する立場で見る仙台はどんな街か。今後どんな出版、活動をしてい
きたいか。と話題が続きました。ご出演の皆様全員にじっくりお話を聞
くところまではいきませんでしたが、名コーディネーター大泉さんの采
配で、仙台には意欲的に出版を行っている人達がたくさんいること、出
版人の仙台への熱意とこだわりによって本がつくられていることが、よ
くわかりました。
 リトルプレス、新聞社、公共施設、印刷会社の方にも参加いただいて
本は出版社だけがつくるのではなく、いろいろなアプローチがあること、
趣旨や背景、方法も多様であることがわかってよかったのではないかと
思います。
 笹氣出版印刷の只野さんの発言で知ったのですが、仙台では20数年
前に「みちのくブックフェスティバル」という本のイベントが開催され
たそう。只野さん曰く、本のイベントはそれ以来ではないか、というこ
と。「みちのくブックフェスティバル」はその後、地方出版ブームに火
をつけたが、一回しか行われなかったらしい。そこで切れてしまったの
が残念、イベントは積み重ねが大事。センダイボンパクのようなイベン
トはほんとうに大切。と我々への激励のようなことを言っていただいた。

 Book! Book! Sendaiでこのような機会を持てたらいいなと思い立っ
たものの、はじめはなかなかシミュレーションできなかった。でも街で
精力的に仕事をされている人の話がおもしろくないわけがない。
「雑誌をつくっていると思わぬ出会いがあり、そんな出会いがあると
やめられない」「身近にある小さなことを拾うように伝えていきたい」
「忘れられそうになっている仙台ならではのものを残したい」などたく
さん心に残る言葉があった。会場のお客様も真剣に聞かれている様子だ
った。
 ご出演の皆様、貴重な話をありがとうございました。
ご多忙のなかお出でいただきまして、本当にありがとうございました!

  (今回も写真はBook! Book! Sendaiメンバー・佐藤正実さん)


Book! Book! Sendai 2009 /「センダイボンパク」ご報告2009.7.5  

「Book! Book! Sendai 2009」
  各イベントのご報告シリーズ、
   今回は「仙台本の博覧会 センダイボンパク」です。
    (二部構成ですが、今日はまず第一部のみ)

               ◆

「センダイボンパク」 6/25(木)15:00〜18:00

 12時に会場の市民活動サポートセンターまでレンタル屋さんがガラス
ケース2台を持ってくる約束。…遅い。12:40到着。エレベーターに入ら
ないので階段で運ぶことになり、男手がもう2人必要。センターのスタッ
フが手伝ってくれる。あ、ありがとうございます!
 出演者の渡邊慎也さんと早坂信子さんがご到着。ガラスケースに明治
〜昭和期の貴重な書籍の陳列作業をする。
 
ここだけ博物館のような趣き。「風の時」佐藤正実さんが食い入るように
展示物を凝視している。

               ◆

 第一部「仙台出版むかし語り」。会場は満員で100名近く。用意した
椅子が足りずあわてて追加する。若い人から研究者っぽい方まで幅広い。
入場無料で一番集客が読めないイベントだったのでスタッフ一同驚喜する。
   
 
 はじめに早坂信子さんが江戸の出版事情についてお話して下さった。
   
仙台藩六代藩主伊達宗村八男の堀田正敦の業績を紹介しながら、江戸と
仙台をまたにかけた出版と文化の話。スケールの大きさにクラクラ。
 「印刷物としてもっとも質の高いのが明治初期ではないか」「江戸時
代の職人技がまだ残り、西洋からは銅版、石版技術、印刷の道具が入っ
てきて両方が混在していた。」と言って展示している『偐紫田舎源氏』
が年代によってまったく違うことを指摘された。
 最後に江戸の女流作家、只野真葛について触れた。仙台で悲運の死を
とげた真葛。もっと知りたくなった。早坂さんの口からは流れるように
固有名詞や年代が語られる。ひゅ〜んと江戸まで飛んで行った気分。案
外近いのだ。用意していただいた資料は前夜まで変更のメールが届き、
熱意とパワーに頭が下がる思いでした。

               ◆

   
 渡邊慎也さんに話し手が変わる。養賢堂の教科書からはじまって、明
治〜大正の教科書を紹介しながら仙台の出版史をたどる。江戸時代、全
国有数の出版都市仙台が明治になって木版から活版印刷になり、廉価で
豊富な出版物が東京から入ってくると地元出版社は消えていった。
 大正〜昭和と出版物の変化は国の姿の変化もあらわしている。戦争中
の愛国の賛美と個人の表現を貫く対照的な雑誌の紹介する。検閲の時代
が終わり戦後の占領時代。ここでまたがらりと国が姿を変える。終盤、
「一番大切な本は?」という早坂さんの質問に対して、渡邊さんの小学
生時代のエピソードが語られ会場がしーんとなる。
 渡邊さんのすごいところは、豊潤な知識と本質を見極める洞察力をお
持ちだというだけでなく、それがいつも人への愛情に満ちていること。
ほんとうに楽しそうにうれしそうに語ってくださる。知識の有無や、性
別・年齢で差別をしない。できそうでなかなかできないことだと思う。
知っている人と知らない人では別の風景が見えていると思うけど、行け
ない場所ではない。一冊の本を手にしたり、だれかの言葉に耳を傾けた
かどうか。そんなことを思った。
 渡邊さんがいる仙台はたいへん幸運だと思います。と言うと多くの人
に今さら、と思われそうですが。

               ◆

 申し訳ないのが、私がした前説がひどかったこと。やる前から不安で、
そして不安的中。声がうわずって、絶句。メモすら読めない。普段は太
々しいのに。らしくないことをするとすべるのだ。渡邊さん、早坂さん、
お客様にたいへん申し訳ないことでした。あまりのダメさに武田さんも
びっくり。「明日のブックカフェ講座だいじょうぶ?」と聞かれ、「あ
ぁそれは大丈夫。普段のことを話すから」。案の定、ブックカフェ講座
では別人みたいにしゃべっていました。あれから、始めの挨拶は一切頼
まれなくなりほっとしています。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

次回は、
 「センダイボンパク」の第二部について。


 
 
 


宮城県公安委員会許可第221000000659号 書籍商全国古書籍商組合加盟店
copyright(C)2000-2005 火星の庭 all right reseved