2016年夏から北海道新聞の夕刊にて、火星の庭・前野久美子が小文
  を執筆しています。
  月に1度、「エンタメ本棚」と題したコーナーで毎回1冊の本を取
  り上げ紹介しています。書評というより、おもしろかった〜!とい
  う読後感をそのまま書いています。

  ふだん、読書用の本は小説や歴史、美術の本などが多いのですが、
  「エンタメ」という見方が増えて、ちょっとした変化が起きました。
  ノンフィクションの一見、娯楽的、趣味的な本に深い思想が隠れて
  いることが多いことに気がつきました。
  社会学や現代思想の本のように難しいこと、複雑なことを忠実に言
  葉に転換したものを読むことは大切だと思いますし、不可解なこと
  が多い現実に助けを求めるように気がつくと買ってはうーーんわか
  らない、とうなったりするパターンをくり返しています。そんなな
  か、最近は作者の体験や主観がそのまま書かれたり、本質的なこと
  をユーモアに転換したり、独自に解釈したものへリアリティを感じ
  たり、おもしろいなぁと思うようになりました。それは自分がちょ
  っとやそっとでは影響されない中年になったからなのかもしれませ
  ん。
  かといって、分かりやすいとか、単純化しているのとは違う、作者
  が読者に届けるために考え抜かれた文体なのだと思います。そうし
  た作者固有の言葉が生き生きと感じられるものを読みたいと思うよ
  うになったのは、この連載のおかげです。



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