5月初め、
(主に)Book! Book! Sendaiの広報マンとして東京へ行ってきました。

★『不忍ブックストリートの一箱古本市』
★『全国ブックイベントシンポジウム』
★『ロバロバカフェ 春の古本市』  ほか



<以下、5月13日の『庭番便り』から>

 5月1日から4日まで東京へ行きました。まずは池袋の古書往来座
開かれているわめぞ「外市」へ。奇数月の第一土日に開催していて今月
ちょうど20回目というめでたさ。着くや否や武藤さんにうながされ、山
の手線線路沿いのレストランへと行くと、豆ちゃん、岡島さん、NEGI
さん、U-senさんがビールを飲んでいる。ぽかぽか陽気に再会のうれし
さも手伝ってさっそくほろ酔い。「外市」があんまり気持ちよくて、あ
ちこち行こうとしていた予定もなしにして、夕方までいることにする。
 それにしてもたくさんの人がふらっとやって来て、本をさらりと買っ
て行く。理想的な風景だなぁ。
 途中キアズマ珈琲という喫茶店へ古書現世の向井さんと武藤さんに連
れていってもらう。古い建物を活かした好みの佇まい。珈琲もほかのメ
ニューもおいしい。すると五っ葉文庫の古沢さんが登場。場が一気に盛
り上がる。まっすぐに怪しいのが、すごくいい。

 今回の上京の目的は不忍ブックストリートの一箱古本市と全国ブック
イベントシンポジウムにBook! Book! Sendaiの営業マンとして参加す
ることだったのですが、前日入りしたのは「外市」を見たかったことと、
横浜である友部正人さんと三宅伸治さんのライブがあったから。
 今年出たアルバム『ロックンロール、やってます』の曲を中心に、2
時間半近くのライブはすごかった。ギターを弾きながら飛んで歌う友部
さんをはじめて見た。大好きな三宅さんの曲『つづく』も聴けた。どち
らもシンガーでギタリスト。バックはいない。まったく違う2人が違う
輝きを見せながら、お互いを照らし合ってるのが美しいなぁ〜と思った。
こんな在り方の「ふたり」もあるんだな。

 元気をもらって横浜から1時間かけて池袋に戻って来て、わめぞの打
ち上げに参加。古沢さん絶好調。すでに知り合って10年くらい経って
いるような気になる。居酒屋へ場所を移して午前2時頃まで。明日から
気の張るイベントを控えているので、どうしても固い話になってしまう
けど、向井さんと古沢さんが真剣に相手をしくれてありがたかった。

 絶対に寝坊できないと30分前に西日暮里に着き、普段とらない朝ご飯
を食べていたら、遅刻してしまう。不忍ブックストリートの一箱古本市
の出店場所は千駄木の古書ほうろうさん前。岡崎武志さん、ブック
マークナゴヤ
実行委員でYEBISU ART LABO FOR BOOKSの岩上さんと黒
田さんもいらっしゃる。開始と同時に岡崎さんのところに黒山の人だか
り。終了までずっと続いていた。「寄ってラッシャイ見てらっしゃい。
古本だよ〜。今日は千駄木、明日は茨城。流れ流れて古本行脚」(ちょ
っと違うかも)みたいな威勢のいいお囃子も流暢だ。百戦錬磨の岡崎さ
んパワーを実感。 
 YEBISU ART LABO FOR BOOKSさんもおもしろかった。文庫本を
すべてカバーして、タイトルも著者も見えなくしている。カバーには本
に登場する一人の人物に焦点をあてて紹介し、興味があったらお買い上
げください。というもの。「OMIAI BOOKS」という名前だった。
 不肖私、古本は10年売ってても、一箱古本市は初心者。どうも感じが
つかめないまま終了。思った以上にお客様との距離が近く、どのくらい
接客したものか悩んでしまった。楽しめばいいのにね。おかげで出品者
の皆様の気持ちがちょっとわかりました。
 途中ほうろうの神原さんにお店番を変わっていただき、ほかの場所を
見に行く。徒歩が似合う路地を歩き、ぽっと現れる一箱古本市の本と人。
本を探して歩いているはずなのにいっぱい付録がついてくる。珈琲飲ん
だり、洋品店で靴下買ったり、雑貨屋で娘のお土産買ったり。徒歩が似
合うこの街だから一箱古本市が生まれたんだろうな。
 店番していて「Book! Book! Sendaiだ。今日はジュンコさん来てま
すか?」と何人もの人に聞かれる。おおー、ジュンコ人気は東京まで。
じつは一緒に来るはずで、一緒だったらさらに楽しかっただろうなぁ。
 打ち上げに突入。び、びっくりの115名で乾杯。広い居酒屋一軒貸し
切りで。さすが一箱古本市発祥の地ですなぁ。Book! Book! Sendai
賞を選んでくださいというお達しで、コシヅカハム前に出されていた
「アンティーク スピカ」さんを選ばせていただく。昭和30年代の児
童絵雑誌、暮らしとファッションに特化していて眼を惹きました。
「一箱古本市どうでしたか?」とナンダロウさんにマイクを向けられ
「楽しかったです!」と言うと「どこがですか?」と返され「もう酔っ
ぱらっているんで答えられません」と言ってしまう。情けない…。景品
は風の時の2010年カレンダーと『ふきながし 5号』、火星の庭2007
年発行の『エコロジカル・ブックス』、ご当地出版物3点をお渡ししま
した。終盤はスタッフの労いが心あたたまる雰囲気で、最後「アヤシ
ゲ〜」コールが会場にわき起こる。ナンダロウさん「俺は疲れて早く
帰りたいんだから終わり!」と言いながら口元がゆるんだ。
 会場を移して2次会。なのに50名もいる。当然ナンダロウさんも(
笑)。あり得ないほどの密集度なので隣りの人と話すのにも声を張り
はげて。途中からほうろうの宮地さんとお店のことなどいろいろ話す。
古本屋の未来、やり続けることの不安そして希望。宮地さんは吸引力
のある人だと改めて思う。喉がザラザラしてきた…。3次会もありそ
うだったけど終電で帰っておとなしく寝る。
 だって明日は緊張のシンポジウム。     (つづく)

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<以下、5月19日の『庭番便り』から>

 日暮里の駅でナンダロウさんと待ち合わせて、うろうろ歩きながら谷
中ボッサまで。ナンダロウさんがこの街に住むようになったいきさつや
古い建築について説明してくれる。「この辺は戦災に遭ってないんだよ
。」歴史が分断されていない路地なのだ。かといって古い町にありそう
なよそよそしさや気取りがなく、風通しがいい。「もっと時間があった
らいろいろ案内するんだけど」ナンダロウさんの街への愛着もいいな。
 シンポジウム会場の国立博物館は上野公園内にあり、名前の通り立派
な建物。こっちには圧倒される。予約は一杯で立ち見が出ているという。
今日の出演者、ブックオカの藤村さん(石風社)、ブックマークナゴヤ
の岩上さん、黒田さん(YEBISU ART FOR BOOKS)、小布施一箱古
本市の花井さん(まちとしょテラソ館長)もやってきた。昨日の一箱古
本市があったおかげですでに打ち解けた感じ。本番もそのままの雰囲気
で話すことができた。
 まずナンダロウさんが不忍ブックストリートの一箱古本市について紹
介した後「じゃBook! Book! Sendaiから」といきなり振られてびっく
り。視線が一気に集中する。「えーー、昨日一箱古本市に参加しまして、
打ち上げで飲み過ぎて喉がガラガラでお聞き苦しいと思いますが……」
「そんなことはいいから早く進めて」とナンダロウさんに突っ込まれる。
しどろもどろながらBook! Book! Sendaiの結成から今までの活動につ
いて説明する。言葉が切れるとナンダロウさんにHelp Me !の視線を送
り、助けていただいた。ほかの皆様は画像をたくさん用意していて、ス
クリーンを見ながら話す。小布施の会場の図書館、ほんとに素敵です。
ブックオカさん、スタッフが毎週集まって飲んでいる、というのがすご
い。さすが博多どんたく。ブックマークナゴヤのどんどん参加企画が集
まって来るというのもうらやましい話。
 Book! Book! Sendaiは、うまくいっている話だけではなく、まだま
だイベントとして未成熟であるとか、予算がないとか、仙台という街の
難しさとかも話した。楽しいことは大事だけど継続していくためには、
楽しさのほかにイベントを街で育てていく手法がないと。
 会場には、高遠ブックフェスティバルの斉木さん、ブックスひろしま
の財津さん、ブックマーク犬山の古沢さん、ブックマルシェ佐賀の方な
どブックイベント主催者がいらしていて、ご挨拶いただいた。横浜や金
沢、札幌、千葉で一箱古本市をやりたいという方々もいらしていたよう
だ。ほんとうに全国的に盛り上がりつつあるんだと実感した。
 打ち上げでは各地で起きている一箱古本市の流れをどうつなげていく
か案を出し合って、大いに語り合った。もしかして今、すごい場にいる
のかもと思いつつ酒をぐびぐび飲む。イベントの首謀者の集まりなので、
誰かが「こういのはどう?」と言えば「いいね、だったらこうしよう」
と電光石火のごとく話が具体的になり気持ちがいい。気がつくとシンポ
ジウムの倍の時間が経っていた…。
 
 その後皆様と再会を約束してお別れし、別件の飲み会へ。ほほほ〜。
よく飲みますねーワタクシ。電車がなくなって明け方タクシーでホテル
へ帰りましたことよ。道路が空いていて思ったより安かったわ。
(なんで急に人格変わるんだ?)

 東京4日目最終日。寄り道せずにまっすぐ経堂のロバロバカフェへ。
店内で開催中の古本市に本を出させてもらって、今日は店番をするので
す。いのまたさんのいつもと変わらない笑顔にほっとする。暑いくらい
のいい天気で、次々お客様がやってきてはのんびり時間が過ぎていく。
参加店はオンライン古書店が多く、どこの棚もこだわりとセンスが光り
まくっている。よりモノとしての魅力が際立つ本が多い。いつもロバさ
んの古本市の売れ筋はほかと傾向が違っていて勉強になる。いいなとず
っと思っていて売れなかった本が完売したり。昭和30年代の『きょうの
料理』や『子どもの館』『興糧』などがそう。
 夕方にナンダロウさんが来てくれた。「火星の庭の本いいじゃん」と
ほめてもらった。ロバロバカフェはこの古本市の最終日に閉店しちゃう
のだが、そのことをナンダロウさんは『彷書月刊』の連載にくわしく書
いた。さ、さ、並んで、といのまたさんと私を写真に撮ってくれた。
 ふたりとも同い年、眼鏡、くしゃっと笑うところも一緒。
 それからちょうちょぼっこの福島さんがやってきた。やっほーっとハ
イタッチする。福島さんはずっと年下だがしっかり者で、突っ込みが適
切だ。興味が似ていて視点が違うので、こういう人とは話が弾む。『仙
台文庫』にもご登場いただくので打ち合わせもして、またねーと大阪へ
出かけていった。
 いのまたさんがこれから住む山口県の山の中の畑つきの一軒家の写真
を見せてくれた。話を聞くとほとんど現金を使わずに済みそうな暮らし
だ。そうする気持ちはわかるし、すごく惹かれる。自分のペースで、や
りたくないことをしないで日本で暮らすには選択肢は限られている。
東京という日本一むずかしい場所で、ロバさんのやり方を8年やり続けた
いのまたさんに迷いはなさそうでよかった。さみしそうなお客様の顔が
見え隠れするけども。でもよかった。
 あっという間に時間は過ぎ、「こんどは山口に遊びに行くね」と言っ
てロバロバカフェを後にした。いのまたさん、どうもありがとう。

 東京の報告はこれでおしまいです。
お世話になったみなさん、ありがとうございましたー!!



  book cafe 火星の庭

  〒980-0014 仙台市青葉区本町1-14-30 ラポール錦町1F
  tel 022-716-5335 fax 022-716-5336
  URL http://kaseinoniwa.com

 
 
 
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