西日本古本旅
--------------------------------------------------------
2009.03.10 伊丹空港→西宮→六甲→岡本→大阪
シオサイ(休み)→口笛文庫(休み)→宇仁菅書店→うた→ひつじ書房
→Calo Bookshop and Cafe→貸本喫茶ちょうちょぼっこ→居酒屋
--------------------------------------------------------
ちょうど関西出張だったちょうちょぼっこの福島さんと西宮で待ち合
わせ。福島さんが学生時代にバイトをしていたというブックカフェ、
「シオサイ」でランチの予定だったが、定休日。残念。
六甲へ。「久坂葉子が自殺した駅ですよ」と教えてくれる。口笛文庫
に行くもこちらも定休日だった。早春の空気が清々しく、歩いている
だけでも気持ちがいい。宇仁菅書店をのぞいて、「うた」という小さな
喫茶店に入る。不似合いに大きな声で話しまくる。ケーキを半分づつし
たりして、「女子高生みたい」と言うと、「それはないでしょう」と笑
われた。
岡本へ移動。ひつじ書房という絵本屋さんへ行く。駅前で何十年も続
いていて、年配の女性オーナーが的確で無駄のない接客をされていた。
棚の絵本が長年に渡って、選ばれてきた風格が漂い、安心して選べる感
じ。娘のお土産を1冊購入。今回何度も思ったが、長く続いている本屋
は、店主個人の知識やセンスとはまた違う、そこを訪れた多くの人達
によって作り上げられた揺るぎないものを感じた。川の流れがつくる岸
辺の浸食された自然美のようなもの。
仕事がある福島さんと一旦別れて、夜、Calo Bookshop and Cafe
で再度落ち合う。Caloさんはずっと来たかったところ。まず店内が開放
的で居心地がいい。ブックカフェというのは、本屋と喫茶の2業種を同時
に行うということなのだが、Caloさんはこれにギャラリーも加わり3業
種。それをオーナーの石川さん一人でされている。おそるべき能力と気
力である。閉店時間を過ぎていたのだが、快くお話ししていただく。大
阪の文化源的役割を担っているCaloさんの場づくりへのこだわりを石川
さんの言葉から感じた。
そしてちょうちょぼっこへ。やっと来たよー。想像以上に本が多く、
広い。これは本好きにはたまらないでしょう。すべてに渡ってやり過ぎ
ないのが、ちょうちょぼっこのいいところなのかな、と思う。
たぶんこれほどの店づくりができたら、欲張りたくなるような気がする。
けどちょうちょぼっこはしない。しないことが強烈なメッセージになる
んだな。
でもおせっかいで「もうちょっと開店時間を長くしてカフェメニュー
を増やせばすごくお客さん増えるだろうね」と言うと、「そうかなぁ」
と首を傾げる福島さん。
念願のお店巡りができて、うきうきのまま居酒屋へ。エルマガジン社
のIさんが加わって、女3人ガバガバ飲む。以前福島さんに私の子供時代
の話をしたら前野久美子=野生児というイメージになり、会う人ごとに
「前野さんはパンツ履かない子供だったんですよ」とまず紹介する。お
かげですぐ打ち解けました。
--------------------------------------------------------
2009.03.11 大阪→京都
六曜社地下店(休み)→エレファントファクトリーコーヒー→古本屋巡
り→スマート珈琲店→メリーゴーランド京都→恵文社→料理屋
--------------------------------------------------------
13時に六曜社地下店で山本善行さんと待ち合せ。定休日だったので、
エレファントファクトリーコーヒーへ。路地の2階にあり、たいへんいい
感じ。古本も売っている。
山本さんはブログを拝見するとほぼ毎日古本屋巡りをしている。穏や
かな語り口のなかに古本に人生をかけている凄みを感じ話していて刺激
的だ。
一時間くらい話して、今度は実習。赤尾照文堂、大学堂書店、アスタ
ルテ書房、尚学堂書店、三月書房の順に案内していただく。三月書房は
離れ難かった。店内への敷居の低さと本棚の密度の濃さ。これを目指し
て私もやっていきたい、と思った。
山本さんとお別れし、スマート珈琲店へ。満員でしばらく待ってから
座る。名物ホットケーキと紅茶。出発前に風邪を引いたまま、熱が下が
らないので珈琲を控えた。メリーゴーランド京都は、友部正人夫妻、荻
原魚雷さんともに「ぜひ!」と言われた絵本専門店。本店は四日市市に
あり、オーナーの増田さんは絵本界で有名な方で、ときどき火星の庭へ
寄ってくださる。荒井良二さんを連れてきてくれたこともあった。
京都店店長の潤さんは不在だったので、Book! Book! Sendaiのフリ
ーペーパーをバイトの方にお渡しする。
急に寒くなり、雪でも降りそう。仙台へ電話すると吹雪いているとい
う。何も考えられなくなり、ホテルへ戻ることにする。セーターを一枚
重ね着して、出町柳で京都在住の友人Mさんと待ち合せ。恵文社へ。
本の迷宮。本棚に眼が吸い付いて離れない。恵文社さんには、今年と昨
年、続けて「恵文社冬の大古本市」にお誘いいただきありがとうござい
ました。その節はお世話になりました、と会計のとき山下陽子さんにご
挨拶。山下さんの銅版画も店内に飾られていた。
Mさんと出町柳の京料理店へ。Mさんも版画家で紙モノ好き、仙台が
好きで年に2回くらい会って遊んでいる。パカパカと日本酒を飲み、ガ
ハガハ言いながら食べる。「あれが大文字山。こっちが比叡山」と教え
られながら、鴨川を渡って帰ってくる。
--------------------------------------------------------
2009.03.12 京都→倉敷
trico+→進々堂→知恩院→KARAIMOBOOKS→下鴨神社→猫町→
ガケ書房→田中美穂植物店→六曜社地下店→蟲文庫
--------------------------------------------------------
10時にcafe de pocheのお一人で「京都075」の編集もされている
伊東琴子さんと待ち合せ。cafe de pocheの根城である白川のtrico+へ
行って自転車をお借りし、京都市内をびゅんびゅん走る。途中、進々堂
でお茶。教会の礼拝堂のような室内。庭に光が射してきれい。
京都の古本聖地の一つ、知恩院で今年初めて桜を見る。富士桜とおか
め桜という背の低い種類。
伊東さんは古本市のときだけ来るらしく、がらんとした境内のここに
ずらっと古本屋さんが並ぶと説明してくれる。
自転車をひたすら西へ走らせて、2日前にオープンしたばかりのKAR
AIMO BOOKSへ到着。古い民家を改造して、土間が古本屋、靴を脱い
であがるとカフェになっている。オーナーは水俣の土地に惹かれ、店内
には水俣の物産品もある。古本も文芸書を中心に充実していた。オーナ
ー夫妻の親しみやすい笑顔もよかった。奥さん、すごくかわいい方。
今度は白川をめざして東へ東へ走る。途中、京都古本最大のメッカ、
下鴨神社に寄る。木陰のある広い参道。ここが下鴨納涼古本まつりの
会場。ほえ〜〜ここがぁ。と足を止める。
猫町というカフェでお昼ご飯。ここでもう一人のcafe de poche小西
さんと再会。ガケ書房を訪問し善行堂を拝む。亀は冬眠中でした。ガケ
書房は入る前からわくわくする珍しい本屋。店内を何度まわっても飽き
ない。店長の山下さんにご挨拶。「前野さんも亀飼えば?」と誘われる。
田中美穂植物店は、植木屋さん。かわいい白い小屋に緑がいっぱい。
倉敷の田中美穂さんにサボテンをあげよう、と購入。
最後は六曜社地下店で珈琲とドーナツ。独特のブレンドの味、
なるほど一度飲むと記憶に残るな、と思った。
今日一日京都を案内してくれた伊東さん、小西さんと名残惜しくもお別
れ。伊東さんには、京都のおすすめの本屋、カフェが入った地図を作成
してもらったり、お世話になりました。
京都駅から17時半の新幹線で岡山へ向かう。倉敷に着くと雨。風邪が
悪化しているのか、言い様のない悪寒を感じる。でももうすぐ蟲文庫
なのだ、ついに行けるのだと思うと、不調もぶっ飛ぶ。
暗闇にぽっと浮かぶ蟲文庫。帳場に座る田中さん、絵になるなぁ。
いろんなものが渾然としているのに、調和がとれていて、初めて来たの
に懐かしいと感じる。亀さん達にまた明日、と言って今夜は田中邸にお
世話になる。久しぶりにぐっすり眠る。
--------------------------------------------------------
2009.03.13 倉敷
蟲文庫周辺
--------------------------------------------------------
朝から雨。頭の中も合わせたようにどんより重い。しかしそれほど苦
痛じゃない。不調なら不調なりの楽しみもあるだろうと、気分を切り替
える。田中さんと蟲文庫に出勤。「布団があるので2階で横になります
か?」というお言葉に甘えて、ごろごろする。ときおり階下でぽそぽそ
と話し声。木造家屋にあたる雨の音がやさしい。俳句の本や『ハードス
タッフ』を読んでいるうちに眠ってしまう。
夕方蟲文庫周辺を散策して戻るとカメラマンの藤井さんがいた。田中
さんが呼んでくれたのだった。3人で郷愁漂うアーケードの飲み屋で乾
杯。ちょっとアルコールが入るとテンションが上がる。藤井さんの写真
を見せてもらいながら、好き勝手しゃべる。どれもおいしくて安かった。
ほろ酔いで田中邸へ。お母様が起きていて、お茶をいれてくれる。田
中さんのお母様は、失礼かもしれないが、ほんとうにかわいらしい。
田中さんがマイペースなこと、自分で自分のことを決めてどんどん行く
ところは、子供の成長を邪魔しなそうなお母様に育てられたからではな
いかと思った。お二人のさりげない心遣いに癒されて、熟睡。
--------------------------------------------------------
2009.03.14 倉敷→名古屋
蟲文庫→リブロ名古屋店→シマウマ書房
--------------------------------------------------------
雨があがって日射しがまぶしい。田中さんが開店時間を遅らせてうど
ん屋に連れていってくれた。ほぼ透明な汁におどろきつつ、ダシのきい
た太めのうどんをすする。満足。
このまま1ケ月くらい蟲文庫にいたいけど、そうもいかず。お互いの
カメラでお互いを撮る。ありがとう、また。と言ってお別れする。田中
さん、お母さん、ほんとうにお世話になりました。
どうもありがとうございました。
なんと蟲バッグの新作「かめむしトート」が入荷しました。
マチつきの丈夫な布なので、たくさん本を入れても安心です。
2種 各1800円。
13:30ごろの新幹線で名古屋へ。
つづく。
★後編を表示★
book cafe 火星の庭
〒980-0014 仙台市青葉区本町1-14-30 ラポール錦町1F
tel 022-716-5335 fax 022-716-5336
OPEN/11:00〜20:00(日祝は19:00まで)
定休日/毎週火曜・水曜
E-mail kasei@cafe.email.ne.jp
URL http://kaseinoniwa.com
|
|
|