(1)
東京へBook! Book! Sendaiの宣伝をしに行きます、と言ったら
わめぞの向井さんが「ではトークをしましょう」、南陀楼綾繁さんから
は「(教えている和光大学の)授業で話さない?」と言ってくださって、
いつものように深く考えず出かけてきました。
◆
荻原魚雷さんから、石田千さんの『きんぴらふねふね』の刊行記念ト
ークがあると聞き、和光大の授業の前夜に東京入り。楽しみなのは、会
場のコクテイルで飲むこと。石田さんと魚雷さんの気負いのない佇まいに
和む。石丸澄子さんが仕事帰りにやって来る。わーい。ふちがみとふなと
さんの話などする。東京堂書店の畠中さん、NEGIさんとも再会。会場
には写真家や出版社、イラストレーター、古本屋など本関係の人がたく
さん。初日は抑えめに、2時に布団に入る。
◆
翌日は朝から雨。13時半に南陀楼綾繁さんとジュンク堂仙台ロフト店
のジュンちゃんと待ち合せ。白洲次郎、正子旧邸「武相荘」へ。竹林に
囲まれた茅葺きの屋根。死後、自宅を知らない人がズカズカ入ってくる
のを故人はどう思うだろう。という疑問が湧ないよう故人の気配を消し、
観光地化しないと万人に公開できないものだ。斜陽館を思い出す。縁の
下にあった木製の箱。晩年は大工仕事を好んだという白洲次郎さん作。
故人の気配がこんなところに。
◆
和光大は自然の多い、きれいな大学だった。授業は南陀楼さん(ここ
では河上先生なのだが)の舵取りのもと、火星の庭のこと、仙台の本屋
のこと、ミニコミについて話しているうちに終わった。『仙臺文化』が
どれだけ素晴らしいか話していて、熱くなってしまった。終了後、「わ
めふり」を持ってきた武藤さんさんが「『仙臺文化』見せてください」
とまっさきに言ってきた。
学生達はどうだったかな。若い人の前で話す時、いつも共有する知識
の「前提」にとまどう。「古本屋」「イベント」「古本市」と言ったと
きに、彼らの脳裏にはどんな景色が浮かんでいるのだろうか。そこが真
っ白だったら、何も伝わらないのではないか。
ジュンちゃん、いつもはふわふわしているけど堂々と話していて、頼
もしかった。ジュンク堂で接客しているときの魅力がでていた。
「最後に学生に望むことは何?」と聞かれて、「家と学校といつも行
く店とかだけでなく、たまには寄り道や知らないところへ行ってみて。
あてもなく電車に乗ったり、目的のない場所で降りたり、東京以外の違
う土地にも出かけてみてください」と言った。「それはすごく大事なこ
とだよね」と河上先生が言って授業は終わった。
◆
ほっとして、喉が渇いたが、お茶を飲むところはどこも人でいっぱい
で、新宿に出て武藤さんの案内で沖縄料理店へ。ビールで乾杯。ゴーヤ
チャンプルー、海ぶどうや豚の唐揚げ、もずくの天ぷら…。おいしい。
古書現世の向井さん、立石書店の岡島さんも合流、うってかわって学生
みたいにわいわい騒ぐ。ジュンちゃん、すごいピッチでビールをあける。
武藤さんの酒宴での暴れん坊ぶりを聞いていたけど、ジュンちゃんを横
目におとなしい。ジュンちゃん、とつぜん席を立ったり、叫んだり、落
ち着かない。「ナンダロウさーん、北だけを見てください!」とか。笑
い過ぎて涙がでた。
◆
終電前に解散して、一人でコクテイルへ。魚雷さんと前田君が飲んで
いた。野村君もいたようだが会えず、残念。一杯飲むとコクテイルは閉
店。魚雷さん宅で続き。すみません、すぐ帰りますから。と思いつつお
邪魔する。前田君は、シャイで硬派な青年。苦しそうに見えるけど、若
者のまっとうな苦しみなので見ていて嫌じゃない。最近太宰治を読んで
いたので、「作家がまわりの人間を不幸にして、読者の心を動かす小説
を書くことについて」疑問に思っていることなど魚雷さんにぶつける。
答えにくそうな顔をして、「そんな風にしか生きられない人間がいるん
だよ」とおっしゃった。そりゃ、真夜中にぶつける質問じゃないよな。
気がついたら4時。時計を疑うが、外が明るい。前田君と外に出て、
「まだ飲めますか?」と聞かれたが、さすがに遠慮した。飲めたけど。
目が覚めたら、11時。ん?顔を洗ってびっくり。顔面に湿疹ができてい
る。赤く、すきまなくボツボツボツーーっと。たまっていた毒が一気に
出たか。仕方がないのですっぴんで出かける。
◆
Book! Book! Sendai 2009の「ブックカフェ講座」用に、東京の
ブックカフェを見て回ろうと渋谷・下北沢方面へ行く。いろいろなブッ
クカフェがあるものだ。本はたくさんあるが完全にインテリアで、私が
思うブックカフェではない気がしたり、という場合もあり、実際行っ
てみないとわからないものだ。土曜日の下北沢は、若者でいっぱいで
思考力が低下してくる。
避難するように雑司ヶ谷へ。旅猫雑貨店はずっと来たかったお店。
質がよくて手頃な和の雑貨がきれいにディスプレイされていて、とき
めく。次々とお客様が入ってきてにぎわっていた。店主の金子さんに
おすすめの銭湯と喫茶店を聞いて、「また明日」と言ってお店を出る。
高砂湯に入って、鬼子母神
(全く途中…つづく)
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(2)
鬼子母神のけやき並木の参道を少し入ると、雰囲気のいい古い建物に
喫茶店が。ここが「キアズマ珈琲」。手塚治虫が住んでいた並木ハウス
の別館だそう。引き戸が開け放たれていて、スペインかギリシャのカフ
ェのよう。すーーっと中へ入る。珈琲、ケーキもおいしく、ひさびさに
理想的な喫茶時間をすごした。
◆
銭湯→喫茶店というパーフェクトな充電をして、めざすは経堂のロバ
ロバカフェ。こちらはブックカフェとはうたってないけど、リトルプレ
ス、少部数出版物がたくさん集まっていて、情報発信も強力。お店の本
のコーナーが大きくなっていて、ニヤニヤしてしまった。店主のいのま
たさんに事情を話して、写真を撮らせてもらう。昨日までアルゼンチン
の首都ブエノスアイレスに行ってたと!目的は「紙もの」収集。相当に
掘り出し物があったらしく、興味津々で話を聞く。この日ギャラリーの
展示が初日で、にぎわっていた。いのまたさん、いつも素敵だなー。
◆
いのまたさんおすすめの飲み屋で食事して、また高円寺・コクテイル
へ。ブックカフェではないけど、番外編として紹介したくなって、写真
撮りがてら(という口実で)入る。週末でにぎわっている。一人でカウ
ンターで飲む。目の前に置いてあった獅子文六などを読みながら、ジン
ジャーサワーちびちび。肌の湿疹が悪化しているので一杯にして、12時
過ぎにおいとまする。(つまみに白子の味噌漬けは明らかに炎症によく
ないと知りつつ食べてしまった。)3夜連続コクテイル、満足。
◆
6/7はわめぞが「Take Off Book! Book! Sendai」と題したトー
クを開いてくれて、そこに佐藤純子さんとゲストで出演。
何を話したのか。こちらをご覧ください!
★空想書店 書肆紅屋さん ブログの記事、
『takeoff Book ! Book ! Sendai 』★
◆
打ち上げが凄まじかった。一次会は30人くらい。二次会で20人にな
り、三次会は10人で朝まで。みんな強力な個性と語彙を持っているの
で、おもしろくていつまでも聞いていたい。ここ最近、ずっとBook!
Book! Sendaiの準備で、慣れない文書を作ったり、お願いしたり、
調整したりが続いたので、ただ飲んで笑っていることで救われた気分。
向井さんには「東京でなんでも聞きますよ」と疲れを見透かされたよう
に言われていたのに、全部吹っ飛んでしまった。大人数で慣れないこと
をしているんだから、少々の困難は当たり前。疲れているとささいなこ
とにこだわったりしがちだ。実現できたときの喜びにくらべたら全然た
いしたことなし。
往来座・瀬戸さんが真剣にメモを取っているので何かと思ったら、
「古本縁日 in 仙台」で仙台に来たときに何を食べるかの計画だった。
すごい緻密。あるランチに間に合わせるために搬入日早朝に東京を出発
するつもりらしい。搬入は夜からなのにね。愉快にばかばかしくて、思
わずバシッとおしぼりで頭をたたいてしまった。その瀬戸さんの仙台へ
のハイテンションぶりがこちら(ブログ『往来座通信』)で見られます。
爆笑必至。
◆
翌日。昨夜の打ち上げが痛快だったので、4時間くらいの睡眠でもすっ
きり。よーし、今日は東京での最後の大仕事なのだ。
(つづく)
book cafe 火星の庭
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